矯正歯科用光重合型接着材の開発と臨床応用に関する研究(第 1 報) : フッ素徐放性と歯質へのフッ素取り込み量の検討
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概要
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新規矯正用光重合型接着材(OR)のフッ素徐放性能および歯質へのフッ素取り込み量について検討した.対照としてフッ素徐放性光重合型接着材(LB)と非フッ素徐放性光重合型接着材(TB)を使用した.そして, フッ素徐放量, ヒトエナメル質へのフッ素取り込み量, ウシエナメル質でKOH溶液処理後のフッ素取り込み量の測定をした.また, ヒトエナメル質でのフッ素取り込み量をX線マイクロアナライザーにて線分析を行った.結果 : 1. ORは1日あたり初期に144μg/gのフッ素を放出し, 経時的に減少するが, 60日時点で安定して以後, 1日当たり20μg/gのフッ素を長期に放出した.LBは初期では106μg/gを放出, 60日では4μg/gと低い値を示した.2. ORの人歯エナメル質へのフッ素取り込み量は, 30日ではブラケット直下のエナメル質表層5μmで3, 500 ppmを上回り, 10∿20μmのでも良好な取り込みを示した.また60日では20∿30μmの深さにおいてORはLBに比べ有意に大きかった.LBの経時的増加は, ORと比較するとその値は低く45∿60%程度の取り込み量であった.3. ウシエナメル質を用いKOH溶液処理後ORから取り込まれたフッ素はウシエナメル質各層で2, 000 ppmを越えていた.これは, ORから放出したフッ素がフルオロアパタイトとしてエナメル質に取り込まれたと考えられる.4. ORについてX線マイクロアナライザー分析では, ブラケット直下においてプライマー透過層底部から 25μmの深さまで歯質中にフッ素が取り込まれていた.以上の結果, 試作接着材はフッ素による歯質の耐酸性強化に寄与することが推測された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
-
川本 達雄
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
木下 善之介
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
川本 達雄
大阪歯科大学
-
上埜 文武
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
中川 学
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
矢尾 和彦
大阪歯科大学歯科衛生士専門学校
-
稗田 豊治
大阪歯科大学保存学教室
-
川嶋 信子
大阪歯科大学・歯科矯正学講座
-
神原 修
大阪歯科大学小児歯科学講座
-
木下 善之介
大阪歯科大学
-
矢尾 和彦
大歯大・歯科衛生士専門学校
-
神原 修
大歯大・小児歯
-
矢尾 和彦
大阪歯科大学小児歯科学講座
-
稗田 豊治
大阪歯科大学小児歯科学講座
-
矢尾 和彦
大阪歯科大
-
上埜 文武
大阪歯科大学歯科矯正学教室
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