成人片側性口唇口蓋裂者の顎顔面形態について
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概要
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片側性口唇口蓋裂者の思春期性成長期以後の顎顔面の形態を把握するため, Hellman developmental stage VAで, 前歯部に逆被蓋を呈する片側性口唇口蓋裂者30名(以下, 口唇口蓋裂者群と略す.)と, 同じくHellman developmental stageVAで前歯部の被蓋関係が正常で口唇口蓋裂を伴わない者30名(以下, 正常咬合者群と称す.)およびHellman development stageVAで前歯部に逆被蓋を呈する口唇口蓋裂を伴わない者30名(以下, 反対咬合者群と略す.)の初診時側面頭部X線規格写真を用いてCoben分析を行い, 相関性のある各変量について主成分分析を行った.分析結果は1)下顔面の深さ, 2)下顎枝の前方傾斜と下顎角の開大度, 3)中顔面の深さ, 4)後顔面の高さ, 5)前下顔面の高さの5主成分に表わした.結果の概要は以下に示すとおりである.口唇口蓋裂者群は正常咬合者群に比べて, 1)下顔面の深さに有意差は認められなかった.2)下顎枝の前方傾斜と下顎角の開大度が大きいことが認められた.3)中顔面の深さは, 短かった.4)後顔面の高さに有意差は認められなかった.5)前下顔面の高さは長かった.また, 口唇口蓋裂者群は反対咬合者群に比べて, 1)下顔面の深さは, 短かった.2)下顎枝の前方傾斜と下顎角の開大度に有意差は認められなかった.3)中顔面の深さは, 短かった.4)後顔面の高さに有意差は認められなかった.5)前下顔面の高さに有意差は認められなかった.片側性口唇口蓋裂者の顎顔面形態の特徴は, 中顔面の前後的な劣成長, 下顎角の開大, 下顎枝の前方傾斜, 下顔面高の過成長であった.また, 口唇口蓋裂者の顎顔面形態のバランスをとるための補正能力は, 正常咬合者より小さいことが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1998-03-25
著者
-
松本 尚之
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
松本 尚之
大阪歯大・歯科矯正
-
川本 達雄
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
金澤 富美子
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
松井 恭子
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
冨井 明子
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
木下 善之介
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
川本 達雄
大阪歯科大学歯科矯正学
-
川本 達雄
大阪歯科大学
-
木下 善之介
大阪歯科大学
-
冨井 明子
大阪歯科大学
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