トランスパラタルアーチ装着による無声破裂音の音響分析
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概要
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矯正治療では加強固定, 上顎大臼歯挺出抑制と圧下, 上顎大臼歯の三次元的コントロール, 上顎大臼歯間幅径の拡大などの目的でトランスパラタルアーチ(以下, TPA)をしばしば使用するが, 装着後に患者の発音が不明瞭になっていることに気づくことが多い.本実験の目的は, 発音時に舌が口蓋に接触する無声破裂音について発語明瞭度検査, 音響分析を行ってTPA装着により発音が不明瞭になりやすい無声破裂音を検索し, 原因を明らかにすることである.被験者は成人10名(男子4名, 女子6名), 被験音は/aka/, /aki/, /aku/, /ake/, /ako/, /ata/, /ate/, /ato/とした.TPA装着前後の原音声をコンピュータのハードディスク内に保存し, 時間要素分析, フォルマント周波数分析を行った.発語明瞭度検査は2名の言語訓練士が聴取して行った.口蓋から1mm浮かせたTPAにより発音が不明瞭になる無声破裂音は/ki/, /ku/, /ke/, /ko/, /ta/, /te/であった.口蓋から3mm浮かせたTPAによりすべての無声破裂音が不明瞭になった.TPAの口蓋からの距離が大きくなれば, 不明瞭度は増すことがわかった.また子音や後続母音定常部のフォルマント周波数分析の結果, 口蓋におけるTPAの高さによりフォルマント周波数に差異があらわれたので, TPAが調音点の変化をひきおこし, それに伴い発音時の舌位が変化することがわかった.TPA装着により無声破裂音発音が不明瞭となる原因は, フォルマント周波数分析や時間要素分析から, 子音と後続母音にその原因の多くがあることが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
-
西浦 亜紀
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
本田 領
大歯大・矯正
-
西浦 亜紀
大歯大・矯正
-
川本 達雄
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
本田 領
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
蓮舎 寛樹
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
蓮舎 寛樹
大阪歯大・歯科矯正
-
川本 達雄
大阪歯科大学歯科矯正学
-
川本 達雄
大阪歯科大学
-
西浦 亜紀
大阪歯大・歯科矯正
-
川本 達雄
大歯大・矯正
-
西浦 亜紀
大阪歯科大学大学院歯学研究科歯科矯正学専攻
-
蓮舎 寛樹
大阪歯科大学大学院歯学研究科
-
本田 領
大阪歯科大 歯科矯正学
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