成長期の小児における最大口唇閉鎖圧について

概要

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口輪筋の筋圧は,永久歯列弓内で特に前歯の位置に影響を及ぼすと考えられている.また,口輪筋は成長発育段階で機能的な発達をし,最終的に前歯の位置を決定する要因の一つと考えられている.そこで,口輪筋の機能のうち最大口唇閉鎖圧に注目し,成長発育段階での変化の様子を調べた.大阪市立金塚小学校全校児童295名を対象として,平成12年度学校歯科検診時に最大口唇閉鎖圧を計測し,各学年の平均値および標準偏差を求めた.さらに,同小学校平成12年度2年生児童36名を対象とし,平成12年から平成16年までの5年間,縦断的に最大口唇閉鎖圧の計測を行った.最大口唇閉鎖圧の小学生各学年の平均値および標準偏差は,1年生で2.5N(1.5)(( )内は標準偏差を示す),2年生は3.1N(1.9),3年生は4.7N(2.3),4年生は4.8N(3.1),5年生は7.0N(3.3),6年生が7.9N(4.2)となり,学年が上がるほど増加傾向を示した.また,5年間の縦断調査では,最大口唇閉鎖圧が,2年次2.9 N(3.1),3年次3.1N(3.4),4年次4.8N(3.1),5年次9.5N(3.1),6年次10.1N(3.1)であり,特に4年次から5年次にかけての筋力の発達が著しいことが判明した.以上の結果,筋の機能力を利用した矯正装置の使用は,10歳前後が効果的と考えられた.
大阪歯科学会の論文
2007-03-25