片側で咬合したときの左右椎弓板の力学的反応
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概要
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咬合物質の厚さならびに咬合力の大きさと, 頸椎のひずみ(変形)との関係を検討するために, 麻酔下のサルの両側咬筋を電気刺激して, 左側第一大臼歯で厚さ3mmあるいは7mmの木片を弱い力(約10kg), 中程度の力(約15kg)および強い力(約20kg)で噛ませた.そして, これらの木片を咬合したときと木片を介在させずに咬合したときとの第一頸椎から第三頸椎までの各頸椎の左右椎弓板のひずみを測定した.咬合時, 咬合力の強さに関係なく第一および第三頸椎に比べて第二頸椎の変形はきわめて小さかった.左側第一大臼歯で木片を噛ませると, 第一頸椎の作業側は左右方向に強い圧縮された.第二頸椎の非作業側は上下方向に大きく伸展した.噛ませる力を大きくしたり噛ませる木片を厚くすると, この傾向はますます著しくなった.第一頸椎の作業側は、咬合の条件を変えても変形方向はほとんど変わらなかった.非作業側では噛ませる木片を厚くすると変形は時計の針の進行方法とは逆方向に, 第二頸椎の非作業側は時計の針の進行方向に変わった.これに対して, 第二頸椎の作業側は, 噛ませる力の大きさや噛ませる木片の厚さにかかわらず変形量はきわめて小さかったが, 変形する方向はきわめて多様であった.以上の結果から, 片側で物質を噛むと頭部は作業側に傾くので, 台座としての第一頸椎は全体的に圧迫される.第二頸椎の作業側は第一頸椎の強い圧迫を受けるが, その圧迫を巧妙に避けるために突出したり凹んだりと多様に変形している.これに対し, 非作業側は第一頸椎が必要以上に作業側に傾きすぎないようにストッパーの役目を果している.第二頸椎がこのような機能を発揮できるのは, 歯突起によるものであり, このことから, 第二頸椎歯突起はとくに片側咀嚼時に頭位を維持するためにきわめて重要な役割を果たしていることが明らかになった.
- 大阪歯科学会の論文
- 2000-06-25
著者
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