外来における効果的な看護の構成要素と実践プロセス : 在宅療養者への看護支援のあり方を検討するメタ研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,千葉大学大学院看護学研究科における外来看護に関する質的研究論文を統合することにより,外来における効果的な看護を活用可能なレベルまで概念の構造化をして,その特性を検討することである.学位論文520編(博士論文74編,修士論文446編)のうち,質的研究方法を用い,知見のもととなるデータが掲載されている,外来看護を題材とした計9編の論文を対象とした.分析方法は,Noblit & Hare (1998), Paterson (2001)らのメタ研究の手法を参考に行った.効果的な外来看護として,「表出されない感情・意思を察し,表出されるように積極的に働きかけることで緊張を緩和し,前向きにとりくむ土台を形成する」,「あらゆる状況において状況の肯定的部分・患者の強さを見出し,言語化することでそれらを強化する」,「情報を提供することで,問題解決方法を示したり,先の見通しをつけて不安を軽減したりする」,「患者のコミュニケーションを強化する」,「患者に問題解決が出来ると信じて待つ」の5領域とその構成要素が示された.また効果的な外来看護実践のプロセスは,患者に関して≪知覚された問題に関し表出されない感情・意思を察し,積極的に表出を促す≫ことを起点として,≪治療とセルフケア継続のための問題解決を促進≫し,患者に対して≪問題解決の成功体験を基に自己肯定感・成長感を発揚する≫ことを目指していた.外来看護師がまず何よりも患者の感情・意思の表出を促すために積極的に働きかけること,それにより対象患者の前向きな闘病姿勢を形成し積極的な問題解決を図るための土台を作ることの重要性が強調されていた.また患者の自己肯定感や成長感に意識的に結び付けてゆく技術が強調されていた.わが国の外来看護師は暗黙のうちに,患者が受身の状況に陥らないように,語りかけ,感情・意思の表出をうながし,その表出に共感し,前向きに取り組む姿勢を培っていた.そのうえで問題解決を促進し,患者の自己肯定感や成長感に意識的に結びつけていく働きかけが明らかになった.この働きかけのプロセスは,わが国に独特である可能性が示唆された.
著者
-
胡 秀英
千葉大学大学院看護研究科
-
片倉 直子
千葉大学看護学部訪問看護学教育研究分野
-
山本 則子
千葉大学看護学部訪問看護学教育研究分野
-
赤沼 智子
千葉大学看護学部付属看護実践研究指導センター継続看護研究部
-
辻村 真由子
千葉大学大学院看護学研究科訪問看護学教育研究分野
-
石橋 みゆき
千葉大学医学部附属病院
-
石垣 和子
千葉大学看護学部訪問看護学教育研究分野
-
赤沼 智子
千葉大学 看護学部 附属看護実践研究指導センター
-
石橋 みゆき
千葉大学医学部附属病院看護部
-
胡 秀英
千葉大学大学院看護学研究科
-
山本 則子
東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
-
石垣 和子
東大・医・家族看護
-
山本 則子
千葉大学 大学院看護学研究科
-
辻村 真由子
千葉大学 大学院看護学研究科
-
石垣 和子
千葉大看護学部
-
山本 則子
東京大学大学院医学系研究科家族看護学分野
-
石垣 和子
千葉大学看護学部
-
石垣 和子
浜松医科大学
-
石垣 和子
千葉県保健医療大 健康科学
-
石垣 和子
千葉大学 大学院看護学研究科訪問看護学教育研究分野
-
山本 則子
千葉大学看護学部
-
片倉 直子
浜松医科大学医学部
-
赤沼 智子
千葉大学看護学部
関連論文
- 老年専門看護の発展を目指して : アメリカの専門看護実践から学ぶ(平成21年度ワークショップ,研究・教育活動推進委員会:平成21年度活動報告)
- 排泄ケアにみられる身体性 - 国内文献に記述された実践事例のメタ統合を通して
- 明確な意思表示のできない終末期高齢者と家族のターミナルケアにおける意思決定に関する訪問看護支援
- 保健婦不足感と増員希望にみる保健所保健婦への役割期待
- 地域での保健活動の基盤整備に関する研究 : その1 保健活動に関与する人材への役割期待
- 専門看護師・認定看護師の役割に対する看護師以外の医療職者のニーズ--高度先進医療を提供する大学病院(一施設)における質問紙調査
- 日本家族看護学会 多様な看護分野と学問領域との連携による家族看護学の確立と普及 (総特集 看護におけるイノベーションの現在--日本の看護系学会が推進するケアの開発と実践) -- (各分野で注目・重要視される看護技術・研究と実践事例)
- 農村地域高齢者の尿失禁発症に関連する要因の検討 : 4年後の追跡調査から
- 外来における効果的な看護の構成要素と実践プロセス : 在宅療養者への看護支援のあり方を検討するメタ研究
- 高齢者訪問看護における清潔・感染防止の質評価に関する指標開発(第1報)質評価指標開発のプロセス
- 日本における看護文献提供環境の改善に関する検討会
- 看護実践環境の測定(第2報) : PES-NWI日本語版と就業継続意思との関連
- 看護実践環境の測定(第1報) : Practice Environment Scale of the Nursing Work Index 日本語版の検討
- 訪問看護における摂食・嚥下障害看護の質評価指標改訂版の妥当性と信頼性の検討
- 切除不能進行 / 再発胃癌による oncologic emergency に対する外科的介入とチーム医療の意義 : 緩和医療として貢献できるために
- 地域高齢者を対象とした要介護予防のための包括的健診(「お達者健診」)についての研究 : 1. 受診者と非受診者の特性について
- 大都市に住む一人暮らし男性高齢者のセルフケアを確立するための課題 : 高層住宅地域と近郊農村地域間の質的分析
- 地域での保健活動の基盤整備に関する研究 : その5 基盤整備の方法についての意見から
- 睡眠を促す日本の看護技術としての足浴--足浴利用法の変化(1876-2005年)
- 平成17年度千葉大学公開講座「看護ケアの技術と評価-その根拠と応用」
- 高齢者訪問看護質指標(認知症ケア)の開発 : 看護記録を用いた訪問看護実践評価の試み
- 高齢者訪問看護質指標(認知症ケア)の開発 : 訪問看護師の自己評価からの検討
- 保健婦が関与する保健所独自事業の実態とその関連要因分析
- 国際交流が看護系大学院にもたらす意義 (国際的に活躍できる研究者をどう育てるか--「看護学国際人育成教育プログラム」から考える)
- 大学院における老年看護学教育の実態(日本老年看護学会第13回学術集会交流集会「老年看護学と大学院教育」,研究・教育活動推進委員会:平成20年度活動報告)
- 訪問看護における高齢者の栄養管理質指標の開発と実用性の検討
- 意義あるおもしろい質的研究論文を仕上げるための工夫 (質的研究方法を用いた看護学の学位論文評価基準の作成--大学院博士課程における質的研究方法の教育)
- 高齢者訪問看護の質指標開発の検討 : 全国の訪問看護ステーションで働く看護師による自己評価
- 在宅精神障害者への園芸作業と看護相談をとりいれた効果的な社会復帰プログラムの検討
- 統合失調症をもつ利用者に効果的な訪問看護を提供するための教育プログラムの開発
- なぜいま質的研究のメタ統合が必要か (看護学の基盤形成にいかすメタ統合--質的研究の蓄積と活用)
- 誤嚥性肺炎の予防が必要な要介護者に対する訪問看護師の支援
- 帰国10年以上の中国帰国者1世およびその中国人配偶者の精神的健康とその関連要因
- 統合失調症をもつ利用者に対する効果的な訪問看護の目的と技術に関する研究
- 高齢者訪問看護の質指標の開発の意義とプロセス (焦点 高齢者訪問看護の質指標の開発)
- 在宅精神障害者への園芸作業と看護相談をとりいれた社会復帰支援プログラムの試み
- 高齢者の家族における介護の肯定的認識と生活の質(QOL), 生きがい感および介護継続意思との関連 : 続柄別の検討
- 退院指導と退院後の問題発生予測の評価 : 退院後の問題発生との対応から
- 家族介護者への支援のあり方 (特集 虐待)
- 訪問着護師の排便援助に関する研究 : 排便問題を抱える要介護高齢者と排便介助のできない家族介護者に対して
- 看護学部における感染症対策
- 訪問看護師として再就職したい看護職者を支援する学び直しプログラム (看護職のためのキャリア支援--学び直し教育プログラムの構築)
- 末梢皮膚血流波形の高齢者看護基準への応用の試み
- 分科会「教育研究の場」意見交換の報告(個人情報保護法と老年看護のあり方,研究・教育活動推進委員会:平成17年度ワークショップ報告)
- 摘便後の便失禁を予防する看護実践モデルの作成および適用による実証的検討
- 尿失禁と頻尿をもつ高齢女性に対する訪問看護実践--熟練訪問看護師による1事例への看護実践過程の分析から
- 慢性疼痛ケアに関する質指標の構築と標準化 (焦点 高齢者訪問看護の質指標の開発)
- 排便ケアに関する質指標の構築と標準化(第2報)全国の訪問看護師を対象とした実態調査による実践への適用可能性の検討 (焦点 高齢者訪問看護の質指標の開発)
- 排便ケアに関する質指標の構築と標準化(第1報)質指標作成のプロセス (焦点 高齢者訪問看護の質指標の開発)
- 在宅療養者を支える家族介護者の他者へのケアの委譲--家族介護者に関する質的研究のメタ統合から
- P-9 高齢者のドライスキンに対する保湿クリーム塗布効果の検討
- 特別養護老人ホームとケアハウス入所高齢者における皮膚の乾燥(ドライスキン)症状の特徴と分類
- 地域在宅高齢者における高次生活機能を規定する認知機能について : 要介護予防のための包括的健診(「お達者健診」)についての研究(2)
- P-10 POLHEMUSによる体動(roll)の測定と分析 : 介護用マットレスとrollの関連 : 萌芽的研究
- 精神障害者社会復帰施設における看護師の健康相談の内容と利用者からの評価
- 特別養護老人ホーム入所申請に至る間の介護者の思いとサービス利用 : 介護者続柄別にみた特徴
- 介護保険制度における後期高齢要支援者の生活機能の特徴
- ギャッチベッド背上げにおける座面分割方法と座面傾斜角度の検討
- 市町村保健師の行う痴呆電話相談の相談者の実態とその効果について
- 研究の実際 在宅療養を支える家族介護者の介護への対処法の習得--家族介護者への看護ニーズの明確化に向けたメタ統合 (看護学の基盤形成にいかすメタ統合--質的研究の蓄積と活用)
- 訪問看護ステーション管理者が語る「賃金・報酬」「福利厚生」「経営者・管理者のあり方」--日本訪問看護振興財団によるグループインタビューから(その2)
- 訪問看護ステーション管理者が語る「時間」と「人材」--日本訪問看護振興財団によるグループインタビューから(その1)
- 不十分な"人材育成"と"賃金"の現状が明らかに--日本訪問看護振興財団による訪問看護ステーションの実態調査
- 地域高齢者の生活機能に関する要因の日中比較--特に中国における地域高齢者の生活機能と地域看護ニーズについて (第8回東京都老年学会)
- 在宅療養者および家族と訪問看護師との関係構築に基づく看護実践の構造 : 在宅療養者の看護支援のあり方を検討するメタ研究
- 痴呆高齢者ケアの全国実態調査
- 痴呆老人の家族介護に見られる文化的背景の影響
- 訪問看護ステーションにおける頻回訪問の必要性からみた訪問看護サービス提供の課題の検討
- 老年看護学の構築
- 在宅看護(10)在宅看護のマンパワー育成の現状と課題
- 高齢者のフィジカルアセスメント : 日本の高齢者看護のためのフィジカルアセスメントの枠組みをつくりましょう(ワークショップ講演,的確な判断のための思考プロセスの明確化-高齢者のフィジカルアセスメント-,研究・教育活動推進委員会:平成19年度ワークショップ報告)
- 生活習慣が自覚症状に与える影響に関する研究
- 特別寄稿 高齢者の身近な社会とのかかわりへの保健福祉サービスニーズに関する研究
- 訪問看護における家族看護を考える--在宅療養者の主体性維持の観点から (特集 "家族を支援する"ということ)
- 認知機能障害を持つ高齢者への在宅認知リハビリテーションの試み
- 訪問看護ステーション管理者の訪問看護師への学習支援に対する考え方と実際
- 高齢者ケア施設の看護職による医療処置を安全・確実に行うための工夫と経験した危険な場面の特徴
- The Practice Environment Scale of the Nursing Work Index (PES-NWI) 日本語版の作成
- EBNにおける質的研究(新連載・第1回)EBNにおける質的研究の位置づけ
- 看護の質向上に向けて : 実践と研究の融合(日本老年看護学会ワークショップ2010,研究・教育活動推進委員会:平成22年度活動報告)
- 高齢者の第1次集団のかかわりと生命予後に関する研究
- 高齢者の身近な社会とのかかわりへの保健福祉サービスニーズに関する研究
- フォーカスグループインタビュー活用の意義 : 「健康日本21」への住民の声の反映に向けて
- 地域ケアにおけるteamwork促進要因に関連する研究 : interdisciplinary teamの形成を目指して
- ケアマネジメントにおける連携技術に関連する要因
- 園芸療法用木製レイズドベッドのエルゴデザイン : 高齢者の作業しやすい高さと奥行き
- V. 交流集会のまとめ : 質疑応答内容およびレスポンスペーパー記載内容の分析から(交流集会「高齢者の胃瘻造設や経管栄養に関する決定プロセスと,選択権をはじめとする倫理上の問題に関する多国間でのとらえ方の相違から学ぶ」,日本老年看護学会第16回学術集会II)
- II. 中国における認知症高齢者の胃瘻造設や経管栄養に関する倫理上の現状と課題(交流集会「高齢者の胃瘻造設や経管栄養に関する決定プロセスと,選択権をはじめとする倫理上の問題に関する多国間でのとらえ方の相違から学ぶ」,日本老年看護学会第16回学術集会II)
- I. 交流集会開催にあたって(交流集会「高齢者の胃瘻造設や経管栄養に関する決定プロセスと,選択権をはじめとする倫理上の問題に関する多国間でのとらえ方の相違から学ぶ」,日本老年看護学会第16回学術集会II)
- 認知症高齢者の攻撃行動に対するケア提供者の認識と対処
- 老人専門看護の展望--家族への援助の重要性に注目して (特集 新しい家族看護学)
- 平成22年度活動報告 日本老年看護学会ワークショップ2010 : 実践と研究の融合 : 看護の質向上に向けて
- 認知症高齢者の気持ちに気づくことから訪問看護師による入浴ケアが定着した一事例
- 認知症高齢者の社会資源活用のための家族支援技術 : 介護支援専門員へのインタビューより (特集 家族の研究・理解・支援 : 家族看護学を考える(2))
- 園芸作業をとりいれた精神障害者に対する社会復帰プログラムに必要な『手続き』とその活用可能性の検討
- 便秘ケアにおいて訪問看護師の示す裁量の幅と医師への働きかけの実態
- 高齢者の胃瘻造設や経管栄養に関する決定プロセスと,選択権をはじめとする倫理上の問題に関する多国間でのとらえ方の相違から学ぶ(第2報) : ヨーロッパの国々のとらえ方に目を向けて(交流集会,日本老年看護学会第17回学術集会I)
- "当事者学"に触れて見直す老年看護学(会長講演,日本老年看護学会第17回学術集会I)