カラシナ類の発芽温度に関する種内変異

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日本, タイ, 中国のカラシナ類29品種の種子をシャーレに置床し, 10,15,20および25℃の4水準の設定温度で発芽試験を行った.3日後から14日後まで発芽数を毎日測定した.各品種の種子とも, 最も早く発芽をはじめたのは25℃(ある品種は20と25℃)で, ついで20,15,10℃と温度が低下するにつれて発芽が遅くなった.また, 播種後50%発芽まで日数(GT_<50>)の結果も同様であった.20℃から10℃下における発芽力の種内変異を, 25℃の発芽率を100とした発芽指数(SGI)で比較した.なお, 各品種の低温発芽性を比較するため, 10℃区については, 各国の品種を発芽指数20以下, 20-39,40-59,60-79,80以上の5段階に類別した.その結果, 供試した3カ国のカラシナ品種における発芽温度には, 国間の明確な差は認められなかった.しかし, 10℃区の発芽指数を国ごとに見ると, 中国の品種では20以下の2品種から80以上の2品種まで大きな変異が見られ, 発芽指数80以上の値を示した低温発芽性品種はすべて四川省の搾菜類であった.また, タイの品種でも, 北部山岳地帯の品種Puk Kad Maeo(T1)は80以上と高い値を示した.一方, 日本の品種についてみると沖縄の島菜(J9)は40以下で低温発芽性が低かった.以上の結果から, 栽培地域の緯度や高度などの環境要因が大きく異なる各地には, 各地域に適応した発芽温度を異にする様々な品種が成立していることが示唆された.
日本熱帯農業学会の論文
1991-03-01

カラシナ類の発芽温度に関する種内変異

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