秋型ソバ品種宮崎在来の刈取り時期による開花期に関する集団の遺伝的変化
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概要
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本研究では,長日・高温の夏に栽培すると開花期に関する潜在的遺伝変異を強く発現する九州在来の秋型品種(南・生井1986)について,(1)早咲き個体から採種する集団選抜,および(2)脱粒による収量低減を防止するため農家が行っている早刈取り収穫が,長日・高温の夏栽培においては次代集団の遺伝構造を早生方向へ変化させることを明らかにした.すなわち,夏栽培における50%開花まで日数は,原集団では播種後41.2日であったが夏栽培における早生方向への集団選抜の次代(早咲き次代集団)は39.0日と短くなった.また,夏栽培における一株稔実粒数は原集団では4.0粒であったが,早咲き次代集団では11.1粒と多くたった.長日。高温の夏栽培において,早刈取りした次代(早刈取り次代集団)と原集団は播種後37日目までに集団の50%の個体が開花したが,遅刈取りした次代(遅刈取り次代集団)では,開花個体はまだ30%であった.また,遅刈取り次代集団の50%以上の個体が開花に至った39日目までに,原集団では70%近くの個体が開花し,早刈取り次代集団では既に80%を越える個体が開花していた.このように長日・高温の夏栽培では単に刈取り時期を変えただけで次代集団の開花期に関する遺伝構造は変化することが明らかになった.以上のことから,開花期に関する潜在的遺侯変異を保有する九州在来の秋型品種を長日・高温の夏に栽培し早刈取り収穫を繰り返すと,早刈取りが早生方向への無意識的な選抜圧となって,日長に鈍感で,かつ夏栽培において高収量性を示す夏型品種へと分化していくことを実験的に証明することができた.
- 日本育種学会の論文
- 1986-06-01
著者
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