イネ雄性不稔種子親の結実に必要な受粉花粉粒数
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概要
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イネ一代雑種種子の経済的た大量採種を可能とする方策の一つは,大量の花粉を空中に放出する花粉親と容易に他家受粉する種子親を用いて,結実率を飛躍的に高めることである.そこで,種子親・花粉親の栽植比や栽培様式を確立するための基礎として,種子親が受精・結実するのに必要な他家受粉花粉粒数ならびに,これだけの花粉が受粉するのに要する時間を明らかにしようと試みた.約1時間開穎し柱頭が穎花外に露出する穎花の割合が約20%の遺伝子雄性不稔個体(原品種ニホンマサリ)を用い,大量の空中花粉が浮遊している水田中に開穎個体を配置し,配置時間の長さたらびに検鏡までの時間を様々に変えて,柱頭上の花粉粒数と受精・結実との関係を調査した.その関係をみるには,開穎個体を空中花粉に曝Lてから48時問後の穎花で調べるのが最適であった.その結果,雌蕊当たり1粒の受粉でも60%以上が受精・結実し,2粒以上では約90%が結実した.従来,イネの受精・結実に必要た受粉花粉粒数は10〜20粒であるとされているが,これは低温障害との関わりで気温12〜15℃下での調査であり,かたりの不稔花粉が含まれていたものと思われる.したがって,ある程度の花粉障害を考慮しても,イネの結実には1花当たり3〜4粒が受粉されれば充分である、一方,受粉に要する時間についてみると,供試雄性不稔系統では雌蕊の80%に2粒以上が他家受粉するのに要する時間は30分,3粒以上では45分間であった.以上のことから,空中花粉が多くとも,開頼時間は30分以上であることが望ましい.
- 日本育種学会の論文
- 1987-03-01
著者
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