ナタネ(Brassica napus L.)に対する花粉媒介昆虫シマハナアブの他家受粉効率
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概要
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植物遺伝資源の維持・増殖のための採種法あるいは交雑種子を効率よく生産するための採種法を確立するため,花粉媒介昆虫シマハナアブが花粉親から受けた花粉を種子親に運ぶ過程を花粉媒介昆虫の働きとの関わりで解析した、その結果,シマハナアブは花粉親上の約4花に総滞在時間にして8〜9分間滞在し,その後種子規上の7花に総数約250粒の花粉を受粉した.すなわち,1花あたり約1分間滞在し,1秒間に平均0.7粒の他家受粉効率で受粉し,約7花目でほとんどの花粉親花粉が受粉されることがわかった.また,放飛密度の高い区でのみ花粉親近傍の種子規個体の結実率は60%と高いが,約1.5m以上離れた個体やツマハナアブ放飛密度の低い区ではすべての種子規個体が30%と低い結実率を示した.したがって,花粉媒介昆虫の放飛密度が十分高ければ,花粉親個体からの花粉流動量が著しく増加することが明らかであり,花粉親個体からの主要な花粉流動の範囲は約1.5mと推定された.他臓性ならびに部分他殖性植物遺伝資源を維持・増殖するための採種では,集団の遺伝組成を変化させないため,植物個体問での無作為な相互受粉が行われることが望ましい.本研究の結果から,このようた植物遺伝資源の維持増殖に際しては,栽植距離を短くし,1m^2あたりの個体数を180個体程度まで増加させ,しかも個体あたりの花数を抑え,約60頭/m^2のシマハナアブを放飛してシマハナアブ1頭あたりの花数を約9花と少なくすることが必要であることが推察された.さらに,雄性不稔系統を利用する交雑種子生産では花粉親と種子親の比が1畦:3畦が適当であり,畦問を狭くして単位面積あたりの花数を増やしたほうがよいことが明らかとなった.
- 日本育種学会の論文
- 1988-03-01
著者
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