低照度がハッカダイコンの初期の肥大生長に及ぼす影響
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概要
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低照度下におけるハツカダイコンの肥大抑制作用を体内成分との関係から明らかにするため, 低照度下のハツカダイコンの糖, オーキシン及びサイトカイニンの消長を調査した. 同時に, 低照度下において, カイネチンまたはNAAを直接胚軸部に処理し, それらの肥大促進効果を検討した.1. 低照度区 (10klx) では, 根部の生長が著しく抑制され, 播種後33日目のT/R率は, 高照度区 (25klx) の1.3に比べ, 8.4となった. また, 胚軸部の徒長がみられ, 胚軸長は高照度区の約3倍となった.2. 葉部の糖含有率は高照度区, 低照度区とも, 播種後33日目に若干増加したものの, 調査期間を通じほとんど変化しなかった. しかし, 胚軸部の含有率は, 低照度区でほとんど変化がみられなかったのに比べ, 高照度区では, 発芽後, いったん減少し, 急速な肥大生長がみられた播種後21日目以降急激に増加した.3. 胚軸部のオーキシン含有率は, 高照度区では播種21日後目から明らかに増加し, 低照度区では播種後21日目に若干増加したものの, 全調査期間を通じほぼ一定に保たれた.4. 胚軸部のサイトカイニン含有率は, 高照度区では発芽後いったん減少傾向をたどったが, 胚軸部の肥大が始まる播種後16日目より急激に増加した. しかし, 低照度区では, 発育とともに減少傾向を示し, 全調査期間を通じてその傾向は変わらなかった.5. 低照度下において胚軸部に直接カイネチンまたはNAAを処理した場合, カイネチンは胚軸部の肥大を促進する効果を示した.6. 以上の結果から, 低日照下におけるハツカダイコンの肥大生長の抑制に, サイトカイニン活性の変化が強く関与していることは明らかであり, 同時に, 肥大が抑制されている胚軸部において糖含量及びオーキシン含有率が低い値を示したことから, これらの体内物質も肥大抑制と密接に関係していることがうかがわれた.
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