果実に及ぼすガス濃度の影響 (第4報) : 夏ミカン果実に及ぼす酸素濃度の影響
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概要
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各種果実に及ぼすガス濃度の影響を調べ, 最適貯蔵ガス条件を検討する研究の一環として, 夏ミカン果実に及ぼす酸素濃度の影響を調べた. 1968年の実験では, 4°C下と20°C下で, それぞれ, 酸素濃度0, 1, 1.5, 5, 10, 21%と0, 1, 2, 5, 10, 21%の処理区を設け, 1969年には3°C下と20°C下共に, 0, 3, 5, 7, 10, 21%の処理区を設けた. 炭酸ガスはいずれの区にも与えなかつた. 低温下では約1か月目と2か月目に, 20°C下では約1か月日に出庫して調査した. また, 1968年4°C下では出庫後一部の果実を約1週間, 20°C空気中に放置して調べた.01. 低温下では可溶性固形物含量は処理中変化せず,滴定酸度は減少するが, 濃度間に差は見られなかつた. 還元型アスコルビン酸は低酸素下で減少が抑制された. 食味については, 1968年は1.5%, 1969年は3%以下で発酵臭とにが味が生じ, エタノール蓄積傾向と一致した. しかしながら, 5%以上では食味に明確な差は見られなかつた. 炭酸ガス呼出量は約1か月目より高酸素区が上昇し, 1968年では低酸素区が減少したが, 1か月以前では酸素濃度間に明確な差は見られなかつた.2. 高温下では, 低酸素下で軸腐れがやや多いが, Penicillium sp. の病斑の拡大は抑制される傾向が見られた. 滴定酸度, 還元型アスコルビン酸含量は処理中減少するが, 酸素濃度間に差は見られず, 可溶性固形物含量は変化しなかつた. 食味については5%以下で発酵臭とにが味を生じ, エタノール蓄積傾向と一致した. 21%区では味がやや淡白な果実の発生が見られた. 炭酸ガス呼出量は酸素濃度間に明確な差は見られなかつた.3. 本実験においては, 低温下で果実に2種類の障害が見られた. 第1の障害は酸素濃度1.5%以下で見られ, 果皮が水浸状軟質になり, アルベドが黄色化し, じようのうの赤味が消えた. なお, 20°C, 0%下でもアルベドの黄色化が見られた. 第2の障害は果皮面に小褐斑を生ずるが, 低酸素下ほどその発生が抑制された.4. 夏ミカンでの実験結果より推定して, 柑橘のCA貯蔵における低酸素下の問題点は, 腐敗, 異臭, 浮皮などにあると思われた. 夏ミカンの場合, 異臭, 浮皮果を発生しない安全酸素濃度は4°C下では7%近くと思われた.低酸素下で異臭果発生の多い原因を果皮のガス拡散抵抗, 果実内ガス組成, 嫌気呼吸ならびにエタノール蓄積と関連づけて考察した.
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