果実に及ぼすガス濃度の影響 (第10報) : リンゴ「紅玉」のCA貯蔵における酸素濃度と炭酸ガス濃度, ならびに収穫時期の影響
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概要
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リンゴの CA 貯蔵において, 高炭酸ガス条件と低酸素条件とを組み合わせたときに見られる熟度変化とかつ変障害の発生を, それぞれ単独ガス条件下の場合と比較するとともに, 材料の熟度が異なるときのかつ変障害の発生率とかつ変形態を比較するため, 長野県園芸試験場産の紅玉を1972年9月30日(満開後152日目)と10月9日 (161日目) に収穫し, 4°C下で2か月間, 種々の混合ガス処理を行なつた.1. 高酸素条件下では, 高炭酸ガス下ほど貯蔵中の果皮地色の黄色化, 果肉の軟化が抑制され, 5%炭酸ガス下では1か月目に減酸も抑制された. また, 炭酸ガスを与えずに低酸素条件 (3%) にすると, 空気中に比べ, 地色の黄色化, 軟化, 減酸が抑えられた.2. 高炭酸ガス条件 (3, 5%) と低酸素条件 (3%)とを組み合わせたときの効果を, それぞれ単独ガス条件下での場合と比較すると, 炭酸ガスによる地色黄色化の抑制効果は, 低酸素条件と組み合わせると不明確になつた. いつぼう, 軟化の抑制効果は単独ガス条件下に比べ, 相乗的に増加した. 低酸素条件に5%炭酸ガスを組み合わせると, かつ変が多く, 著しく減酸したが, 3%炭酸ガスを組み合わせると, かつ変が極めて少く, 他区に比べて減酸も抑えられ, 最良の食味を示した. 可溶性固形物含量は早期収穫果では貯蔵1か月目に増加し, その後減少したが, (CO2 3%-O2 3%) 区では2か月目に増加した.3. 高炭酸ガス条件下では果肉のかつ変障害が見られ, 低酸素条件と組み合わせると発生が多くなつた. また, 後期収穫果や出庫時に地色の黄色化が進んでいる果実ほど発生が多かつた. 熟度が進んでいる果実では, かつ変発生部位が維管束に近く, 空洞を伴う例も見られた.4. 低酸素条件下では炭酸ガスによるかつ変が生じやすいので, 低酸素条件と組み合わせたときの最適貯蔵炭酸ガス濃度は, 高酸素条件下の場合より低くなると思われた. 紅玉の4°C下におけるCA貯蔵には, CO2 3%-O2 3%が適すると思われた. また, かつ変発生と関連させて収穫適期について考察した.
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