果実に及ぼすガス濃度の影響 (第9報) : リンゴの国光, 紅玉果実に及ぼす酸素濃度と炭酸ガス濃度の影響
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概要
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リンゴ紅玉と国光果実に及ぼすガス濃度の影響を調べるため, 4°C下と20°C下において, 低酸素条件と高炭酸ガス条件を組み合わせたときの効果を, それぞれ単独ガス条件下の場合と比較した. 酸素濃度を19〜21%(国光の実験では16〜21%) と3%, 炭酸ガス濃度を0, 5, 10% (国光の実験では20%) として組み合わせた6種類の混合ガスを果実に常時通気し, 各区とも各調査日ごとに紅玉では31〜36個, 国光では18個ずつ調査した.1. 高酸素条件下では, 高炭酸ガス下ほど地色の黄色化が抑制され, かつ変発生の少ない20°C下の炭酸ガス区や4°C下の5%炭酸ガス区では減酸の程度や果肉の軟化も抑制された. しかし, かつ変果では減酸と軟化が著しく, かつ変発生の多い20%炭酸ガス区ではこれらの抑制効果は見られなかつた.3. 炭酸ガスと組み合わせない場合, 3%酸素濃度下では, 両温度下とも地色黄色化が抑制されたが, 減酸と軟化の抑制効果は20°C下でのみ見られた.3. 低酸素条件と高炭酸ガス条件とを組み合わせたときの効果をそれぞれ単独ガス条件下での場合と比較すると, 高炭酸ガスによる地色黄色化の抑制効果は低酸素条件と組み合わせると不明確になつた. かつ変発生の少ない20°C下と国光の5°C下5%炭酸ガス区では, 両ガス条件を組み合わせたほうが, 単独ガス条件下より硬度が大きく, 酸含量も多かつたが, かつ変発生の著しい国光の4°C下20%炭酸ガス区や, 紅玉4°C下の場合では, 両ガス条件を組み合わせても軟化や減酸の抑制効果に変化が見られず, かえつて促進される例も見られた. さらに, 20°C下における酸素吸収量に対しては, 低酸素条件下のほうが高炭酸ガス条件下より抑制効果が大きく, 両ガス条件を組み合わせると相加的に抑制効果が増大した.4. 紅玉のジョナサン•スポットは低酸素条件下で発生が少なかつた. また, 高炭酸ガス下ほど果肉のかつ変の発生が多く, 低酸素条件と組み合わせると発生が多くなつた. かつ変の発生場所と維管束との位置関係によりかつ変形態を分類すると, 4°C下では, 貯蔵後期に生じるかつ変は維管束付近から始まり, 空どうを伴う例が多くなつた.5. 低酸素条件下ではかつ変が生じやすいので, 低酸素条件と組み合わせたときの最適貯蔵炭酸ガス濃度は, 高酸素条件下での最適濃度より低くなると思われた. 材料熟度とかつ変形態の差, かつ変発生と貯蔵効果との関係について考察した.
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