ナス果実の貯蔵中に発生する低温障害の組織形態学的観察
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概要
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ナス‘黒光新2号’の果実を4°Cに貯蔵し, ピッティング, 褐変などの低温障害を発生させ, その過程における果皮部, 果肉部の組織形態的変化を13°C区を対照として比較した. さらに褐変発生とフェノール性物質ならびにポリフェノール•オキシグーゼとの関係を検討した.1. ピッティング発生前に, 表皮下3〜10層目の一部の柔細胞ではすでに原形質分離を起こしていた. 発生の初期段階では, まず表皮下約8〜10層目の2〜3層の, 原形質分離を起こしている柔細胞が扁平化した. ピッティング程度が進むに伴い, 上記の扁平化細胞は褐変すると共に表皮方向ならびに表皮と平行方向に増加した. 最終段階では表皮細胞まで原形質分離, 扁平化おらびに褐変を生じ, さらに表皮下15〜20層の柔細胞にまで及んだ. また, 褐変した細胞内には黄褐色の粒状体が認められたが, 特に表皮付近の柔細胞に多かった.2. 果皮部がピッティングを生じないで褐変する場合にも, 組織形態的変化はピッティング発生の場合とほとんど同様で, 細胞が扁平化しないだけが異なった.3. 果肉部の柔細胞では褐変前に核が一時的に膨脹したが, その後褐変すると, 柔細胞の原形質分離と共に縮小した.4. ナス果実中のセなフェノール性物質はクロロゲン酸と思われ, 維管束組織, 種子中に多く存在し, 果皮部にはアントシアンのほかに, クロロゲン酸以外のフェノール性物質の存在が推定された. また, ポリフェノール•オキシターゼ活性も果皮部, 果肉部, 維管束組織, 種子中に見出された.5. 低温貯蔵中に, 褐変が生ずるとフェノール性物質検出試薬に対する各組織の呈色反応は不明瞭になったが, ポリフェノール•オキシダーゼ活性は幾分認められた.
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