キュウリ果実の貯蔵中に発生する低温障害の組織形態学的観察
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概要
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キュウリ‘ときわ新2号’の果実を4°Cに貯蔵し, ピッティングや白濁液漏出などの低温障害による症状を発生させ, その過程における果皮部, 果肉部の組織形態的変化を対照の13°C区と比較しながら検鏡観察した. なお, ピッティングは低湿度下で, 白濁液漏出は高湿度下で生じやすい傾向があった.1. ピッティング症状が外観的に認められる前から気孔下腔に隣接する柔細胞が原形質分離を起こし, 扁平化した。扁平化は表皮に平行方向と内部方向に次第に増加し, 気孔周辺の表皮下8〜10層の柔細胞に及んだ. さらに表皮細胞も扁平化し, 気孔周辺を中心に陥没するようになると, 外観的にピッティングとして認められるようになった. その後, 扁平化細胞は表皮下15〜20層にまで及び, また個々の気孔を中心とする扁平化部が拡大して相互につながり, ピッティング部の陥没はより深く, 広くなった.2. 白濁液が漏出する場合には, その前から気孔下腔に隣接する柔細胞ては細胞器官や細胞壁の一部が崩壊した. 細胞の崩壊は気孔近くの表皮細胞ならびに表皮下7〜8層以上にわたる柔細胞にまて及んだ. この崩壊物は組胞間隙のみならず気孔部を通して外部にも溢出し, 白濁液漏出として認められた.3. ピッティングなどの症状が認められるようになると気孔近くの表皮細胞とその直下の柔細胞ては核が縮小後, 葉緑体と共に崩壊した. 一方, 気孔から離れた部分の表皮細胞とその直下の柔細胞, ならひに果肉部の柔細胞ては外部症状が現われる前に核が一時膨張したが, その後原形質分離と共に縮小した.
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