アブラナ科そ菜のホウ素欠乏ならびに過剰

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数種のアブラナ科そ菜をホウ素 (B) 濃度を変えて砂耕し, それらのB欠乏ならびに過剰症状を比較し, さらに生育, B含量, 糖含量におよぼす影響を調べた。1. 供試そ菜の多くはB0〜0.005ppm区でB欠乏をおこし, 上葉がよじれたり, まいたりし, また不整形となるのが特徴で, ハクサイ•ハナヤサイではさらに中葉の中肋内側が横裂褐変した。根も一般に発育がわるく, とくに側根の伸長が妨げられた。なおコカブ•ハツカダイコン•ダイコンなどの根菜類では肥大根の皮層が亀裂, 褐変し, 葉における症状よりも著しかつた。コカブ•ハツカダイコンでは形も細長くなり, コカブでは中心部が変色した。ハナヤサイ•ブロッコリでは花らい髄部に水浸状部が出現し, 茎髄部にも凹陥部を生じた。これらの症状は程度は軽いがB0.01〜0.05ppm区にも現われた。ハナヤサイのB0ppm区では花らいの表面も褐変し, ブロッコリでは花らい収穫後, 切断面の癒傷組織形成がおそかつた。ハクサイの採種栽培ではB0.01ppm区で分枝の伸長がわるく叢生となつた。花らいは花べんが小さく, 柱頭の突出したものがあり, 着莢率は低く, 種子も小さかつた。供試そ菜の中ではカンラン, ブロッコリが欠乏症状をおこしにくかつた。2. B3〜5ppm区ではどの供試そ菜でもBの過剰症状を呈し, 中下葉の葉色があせ, 下葉の葉縁に沿つて淡褐色乾燥部を生じた。カンランでは過剰症状の程度も比較的軽かつた。3. 生育は一般にB0〜0.005ppm区が対照区 (B0.3〜0.5ppm) にくらべてかなり劣り, 根菜類では葉部よりむしろ肥大根, ハナヤサイでは花らいの収量低下が著しかつた。一方カンランでは葉球重はやや劣るが外葉重はむしろまさり, ブロッコリでは生育, 花らい収量とも低下しなかつた。またハクサイの採種栽培ではB0.01ppm区でも種子収量が著しく劣つた。B3〜5ppm程度の過剰区では生育, 収量の低下はみられなかつた。4. 欠乏症状を示す区では葉, 肥大根, 花らいいずれもB含量は10ppm以下であつた。葉中B含量が20ppm以上ある場合は正常な生育を示した。過剰症状を示す区の葉中B含量は100ppm以上, あるいは300ppm以上の場合が多かつた。なおB供給量が少ないとB含量の器官, 葉位による差はわずかだが, 供給量が多いと葉, とくに下葉に蓄積し生育段階が進むほどその傾向が著しかつた。5. 葉の糖含量はB施用濃度による差がはつきりしないが, 根菜類では肥大根, ハナヤサイでは花らいの糖含量がB0〜0.005ppm区で著しく低かつた。ブロッコリの花らいの糖含量にはB施用濃度による差がみられなかつた。ハナヤサイの花らいを除き, 糖の大部分は還元糖であつた。
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