洋ナシバートレットの追熟について(第1報) : 追熟温度と冷蔵処理の影響
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概要
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バートレットの1, 2週間の冷蔵および追熟温度が, 成熟所要日数および熟果の外観, 品質などにどのような影響を与えるかについて, 2か年にわたつて実験を行なつた。材料は山形県農業試験場置賜分場産のものを1962年には3回, 1963年には2回にわたって収穫した果実を用い, さらに1963年には長野県伊那産のものを加えた。その主な成績は次のとおりである。1. 無冷蔵の場合は, 20°Cでは追熟がすみやかに行なわれ, 熟度も斉一で, 果皮もあざやかな黄色となつた。室温で追熟した区は, 成熟がおくれ, しかも不斉一で, 病害の発生も多くみられ, 果皮は不鮮明な黄色で, 褐色のすじがみられ, 外観も劣った。15°Cで追熟した区は外観, 品質とも20°C区に劣らないが, 成熟に要する日数はやや長く, 成熟もやや不斉一であつた。2. 4°Cに1週間あるいは2週間冷蔵した後追熟した果実は, 冷蔵期間が長いほど追熟所要日数が短縮され, 熟度は斉一となり, 熟果の外観もよく, 病害の発生も少なかつた。3. 果汁の可溶性固形物含量は, ほとんど処理の影響をうけなかつた。一方, 酸含量は収穫期のおそいものほど, また冷蔵期間が長くなるものほど減少した。追熟温度の影響はめいりようではなかつた。4. 試食の結果, 味については, 1週間冷蔵後追熟した区が全般的にすぐれ, 無冷蔵では室温区が劣る場合が多かつた。2週間冷蔵のものは時に味の劣る場合がみられた。肉質についてもほぼ同様な傾向がみられ, 無冷蔵室温区の劣る場合があつた。5. バートレットの出荷時期は, 気温がその追熟温度としては高すぎることが多いから, 20°C前後あるいはそれ以外の冷涼な温度で追熟させることが必要と認めちれた。6. 1〜2週間の冷蔵を行なつた後, 追熟させると, 熟期をそろえ, 腐敗を少なくし, 外観, 品質を保つため有効なことが認められた。7. 熟度の進んだ果実を4°Cに2週間以上冷蔵すると, Breakdown の発生がみられた。8. 無冷蔵室温区に発生の多い炭疽病とみられる腐敗果の発生は, 20°Cまたはそれ以下の温度で追熟するか, 1週間以上の冷蔵を行なうことによつて発生がおさえられることが認められた。9. 東京あるいはそれと似た温度条件のところでバートレットを追熟する場合には, 20°C前後あるいはそれ以下の温度におくか, あるいは室温で追熟する前に1〜2週間程度の冷蔵を行なうことが望ましい。
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