ベニタデのアントシアニン含量に及ぼす培地中の窒素, リン酸並びにカリの影響
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概要
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培地中の各種形態窒素, リン酸並びにカリ濃度がベニタデの生育, アントシアニン並びにクロロフィル含量に及ぼす影響を調べるため砂耕実験を行なった. 更に, 窒素を与えた場合には体内の窒素, 炭水化物含量も分析した. いずれの場合も脱塩水のみを与えた区を対照区とした.1. 硝酸ソーダ, 硝酸アンモニウムまたは尿素の形態で窒素を2〜10me/l施用すると, 2meですでに対照区に比べ生育は大となり, 子葉, 下はい軸共に緑色を帯び, 赤紫色の程度は減少した. これらの芽生えではクロロフィル含量が増加し, アントシアニン含量は減少した. 硝酸態窒素では1meでもその傾向があった. 一方, 硫酸アンモニアを与えると2meでは対照区と差がなく, 5〜10meでも他の窒素形態区に比べ影響が少なかった. ただし, 別の実験では2meのアンモニア態窒素でも対照区に比べ生育, クロロフィル含量がやや増加し, アントシアニン含量が減少する場合もあった.2. 第一リン酸ナトリウム(リン酸として0.75〜3me) または硫酸カリ (カリとして0.5〜3me) を施用しても, 対照区に比べ生育, アントシアニン及びクロロフィル含量に差は認められなかった. また硝酸態窒素あるいはアンモニア態窒素 (5me) にリン酸 (1.5me), カリ(1me) を組合せて与えても, 窒素の効果に何ら付加的影響をもたらさなかった.3. アンモニア態, 硝酸態及び尿素態窒素を2me与えると, 対照区に比べ, いずれも体内全窒素, タンパク態窒素含量が増加し, 全糖, 還元糖, デンプンなどの炭水化物含量は逆に低下の傾向を示したが, アンモニア態窒素区ではその傾向が最も少なかった. なお, 硝酸態窒素区では1meでも炭水化物含量は低下した. これらの結果から, 窒素施用によるアントシアニン含量の低下は体内窒素含量の増加に伴う炭水化物含量の低下と関連があると推定された.
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