サトイモ塊茎の貯蔵中に発生する低温障害の組織形態学的観察
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概要
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サトイモ塊茎を4°Cに貯蔵し, 内部褐変を発生させ, その過程における組織形態的変化を対照の13°C区と比較しつつ観察し, また褐変に関係のあるフェノール性物質ならびにポリフェノール•オキシダーゼの分布を組織化学的に調べた.1. サトイモ塊茎にはタンニン細胞があり, 内部貯蔵柔組織より表皮部柔組織と維管束組織に多く分布する傾向がみられた. また柔組織のタンニン細胞は一般に楕円形, 維管束組織では長方形であった.低温障害による内部褐変が肉眼的に認められる前から一部のタンニン細胞はすでに粒状化し, やや褐変しており, その周囲の柔細胞にも褐変が及んだ. 肉眼的に内部褐変が認められるようになると, 褐変したタンニン細胞が増加し, その周囲の柔細胞の褐変程度も増大した.一方, タンニン細胞以外の柔細胞では内部褐変の発現前から核が膨脹し, 白色体やアミロプラストは核の周囲に集合した. 褐変が現われると, これらの柔細胞はすでに原形質分離を起こしており, 核は逆に縮小し, ついで核のみならず白色体やアミロプラストも崩壊した.2. 塊茎中のフェノール性物質は主としてタンニン細胞中にあるが, 乳管中にもその存在が認められた.ポリフェノール•オキシダーゼ活性はタンニン細胞のほか乳管, 一般の柔細胞でも認められた.3. 低温貯蔵した場合, 内部褐変が現われるとフェノール性物質検出試薬に対する呈色反応は不明瞭になったが, ポリフェノール•オキシダーゼ活性は認められた.
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