合成発情物質の埋没がめん羊の蛋白質代謝におよぼす影響 : I. ヘキセステロール埋没による尿中ならびに血中窒素化合物の変動

概要

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反すう動物に対する合成発情物質処理による増体促進効果はよく知られているが,その作用機序を詳細に検討したものは少ない.本試験は反すう動物における合成発情物質の増体促進作用機序を解明する手がかりを得るため,主として窒素代謝と血中ならびに尿中非蛋白態窒素化合物について検討を加えたものである.供試動物は日本コリデール種去勢めん羊6頭で,合成発情物質としてHexestrol (15mg含有ペレット)を耳根部皮下に埋没した.試験期間はHEX埋没後5週間である.HEX埋没によって増体は著しく促進され,1日当り増体重で対照区の1.4倍となった.飼料要求率も同様に著しい減少を呈し,1kg増体に要した飼料量は対照区7.5kgに対し埋没区5.0kgであった.血中尿素はHEX埋没によって減少し,この減少が尿中尿素あるいは尿中総窒素の変動をもたらし,窒素蓄積増の主因となったものと推定される.また,この尿素の減少はHEX埋没後1週ですでにあらわれ,5週間持続した.血漿中アミノ酸態窒素,尿酸にはHEX埋没による影響はとくに認められないが,全血中アンモニアは増加がみとめられた.また,尿中非蛋白体窒素化合物の,HEX埋没による変動は尿素の減少とクレアチニンの増加を除いてはとくに認められなかった.