スンクス,Suncus murinus, Ornithine transcarbamylaseの性質
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概要
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Ornithine transcarbamylase (OTC)は生物界に広く分布し,尿素サイクルを有する動物では,そのサイクルの構成酵素の一つである.したがって,窒素排泄形態の進化とともにその機能も変化して来たと考えられている.本実験では哺乳動物の厚始的形態を示すといわれる新しい実験動物スンクスSuncus murinusのOTCについて若干の検討を加えた.スンクスの肝臓からOTCを免疫吸着カラムクロマトグラフィー法によって精製し,その性質をウシ,ラット,ウサギ,サメ,エイ,ニワトリの各OTCと比較した.精製スンクスのOTCはドデシル硫酸ナトジウムポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一で,その分子量は35,000ドルトンであった.この値は他種のOTCとほとんど同じである.大部分のOTCは3量体であるので,スンクスOTCもその分子量は105,000ドルトンと推定される.スンクスの肝臓には1gあたり120μgのOTCが含まれていると推定され,他の種に比して多い.尿酸排泄型のニワトリでは腎臓1gあたりわずか8μgであったOTCのアミノ酸組成は異種間で大差はなかった.OTCをBrCNで切断し,その断片を比較した所,哺乳動物間で高い類似性を示したが,スンクスOTCには他にはない断片が認められた.また二重免疫拡散法でもスンクスのみが特異的な沈降線を示した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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