沖縄島の養鶏業におけるマングースの被害
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概要
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マングースによる沖縄島の農業への影響を把握する一環として、マングースの養鶏業に対する被害調査を実施した。その結果、マングースによる被害は調査を行った106戸の養鶏農家の約20%にみられた。今回の調査で明らかになった被害の特徴のひとつは、生後30日までの幼雛が被害にあう場合が多いことであった。特に幼雛への被害は雛の入荷当日より発生しており、マングースは襲いやすい幼雛をある程度選択的に加害するものと考えられた。二つ目の特徴は、採卵鶏では頭部への食害が、食肉鶏では頚部への食害が多かったことである。この被害部位の相違は、鶏舎形態の違いによると考えられた。三つ目の特徴は、マングースは特定の経路で鶏舎へ侵入し、特定の鶏舎やケージを加害することが多いことであった。マングースは、鶏や卵がある場所を認識して計画的に被害を与えているように思えた。被害を及ぼす時間帯は、未明から21時までの間と考えられた。被害農家の推定年間被害金額は、200円(卵)~約130万円(採卵鶏)であった。被害農家の約70%において、侵入防止や捕獲などの自衛対策が講じられていた。今回の調査によって沖縄島の養鶏業に対するマングースの被害が初めて具体的に確認された。現在、対策が実施されている在来生態系への被害対策と有機的な連携を図りながら、農業被害への対策が展開されることが望まれる。
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