黒毛和種繁殖集団における血統構造と蛋白質多型との関係

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兵庫県美方郡, 城崎郡, 津名郡及び岡山県津山市域(津山市, 苫田郡, 久米郡)の4地域に飼養されている黒毛和種繁殖雌牛589頭を対象とし, 血統構造を五代祖以上にわたって調査するとともに, 多型を示す血液と乳白質を分析し, 血統から見た集団の遺伝的構造と蛋白質多型との関連について検討した。兵庫県の3繁殖集団は美方郡産種雄牛「田尻」の血緑個体より構成されている。美方郡は郡内完全閉鎖育種方式を維持しているが, 城崎郡では美方郡産種雄牛の影響が強いものの独自の血統構造を維持する個体も存在し, 多型を示す座位での遺伝子頻度やカゼインハプロタイプからもそれがうかがわれた。津名郡の集団は美方郡産牛の影響が強く, 美方郡の亜集団といえる。近交係数は美方郡が8.8±5.8%, 城崎郡6.8±6.5%, 津名郡5.2±4.0%と前2者がやや高い。津山市域の牛群の近交係数は3.2±4.8%で, その内4割以上の個体が1%未満であった。城崎郡の集団ではTfの頻度が高く, 特に旧よし蔓系の雌牛でその傾向が強い。ヘテロ優位性は美方郡ではβ-Lgで, 城崎郡ではβ-Cnとβ-Lgの両座位で認められたが, 前者では近交の上昇, 後者では連鎖不平衡が原因と推定された。カゼインハプロタイプαs_1-Cn^B/β-Cn^<A1>/κ-Cn^Bを持つ城崎郡の雌牛はすべて種雄牛「城清」の血縁個体であった。
神戸大学の論文
1985-01-31

黒毛和種繁殖集団における血統構造と蛋白質多型との関係

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