主成分分析法による黒毛和種種雄牛の体型評価(畜産学)
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概要
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黒毛和種種雄牛の6部位の体型測定値を用いて, サイズ・形態に関する総合特性値(主成分)を導出し, 生産県の特色および生産県による分類が可能か否かについて検討した。材料牛は昭和54年度に全国で供用された種雄牛のうち, 4.5歳以降に体高・体長・胸囲・胸深・腰角幅・〓幅の6体型測定値を備えた種雄牛および育種登録種雄牛計149頭である。これらの種雄牛の産地は兵庫・鳥取・岡山・広島・島根・鹿児島・宮崎・大分の8県である。分析方法は, 体型測定値を対数変換し, その相関係数行列に対し主成分分析を適用した。得られた結果は以下の通りである。1. 主成分分析により導出された主成分の寄与率は, 第1主成分が64.8%, 第2主成分が10.8%, 第3主成分が8.2%であった。第1主成分は, その係数がいずれの体型測定値においても0.4前後であり, いわゆるサイズ因子である。第2主成分では, 腰角幅と〓幅の係数符号が負で, 体高と胸深は正であった。このことから第2主成分は体高に対して後躯幅を対比する体幅の形因子とみなせた。第3主成分では, 体高および体長が負であるのに対し, 胸深が正となり, 牛体の深みに関する形因子と考えられた。2. 3個の主成分に基づき, 各生産県の特色をみると, 兵庫県産種雄牛は小型で, 体幅が乏しく, また深みに欠けるという特色がみられた。鳥取県産種雄牛は総体的に大型の種雄牛が多く, 体幅に富む傾向が認められた。岡山県産種雄牛は鳥取県産種雄牛に比してわずかに小格であるが, 深みには富むことがうかがえる。一方, 広島・宮崎両県産種雄牛のサイズは兵庫県産と鳥取県産種雄牛の中間に位置していた。また, 宮崎県産種雄牛は兵庫県産種雄牛と同様, 体幅に乏しい。鹿児島・島根・大分県産種雄牛は, サイズおよび体幅に関して, 鳥取・岡山両県産種雄牛と類似していた。このように, 主成分スコアーにより種雄牛の"体型"評価が可能になった。3. 各種雄牛の3個の主成分スコアーを用いてクラスター分析を行ったところ, 類似度0.80までに大小8個のクラスターが得られた。そのうち, 兵庫県産種雄牛を主体とするクラスター, および鳥取・岡山・島根・鹿児島各県産種雄牛が混じったクラスターが最も大きいものであった。広島県産種雄牛ならびに宮崎県産種雄牛は個々の種雄牛の血統に従って, それぞれ該当するクラスターに分化する傾向が認められた。
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