土佐褐毛和種にみられた低セルロプラスミン血症

概要

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土佐褐毛和種の父方半きょうだいの雌牛に,血漿セルロプラスミン(Cp)が非常に低い個体を2頭見出した.デンプンゲル電気泳動で,基質にp-フェニレンジアミン,またはo-ジアニンジンのいずれを用いても,これらの個体のCpバンドは検出されなかった.オキシダーゼ活性を測定したところ,低Cp個体は正常個体の1/5の値であった.また,Holo-Cp抗血清を用い,単円免疫拡散法でHolo-Cp量を測定したところ,低Cp個体めCp量は正常個体に比べ1/2であった.血漿中の遊離銅濃度も1/3であった.また,免疫学的実験から低Cp個体と正常個体の総Cp量には顕著な差がないものと推定され,肝臓中でのApo-Cpから, Holo-Cpへの転換が阻害されている可能性が示唆された,この現象に対する環境と遺伝的影響を明らかにするため,季節を変えて再調査を行なうとともに,血縁個体も合わせて調査した.低Cp個体の1頭は,その子牛と同様に低Cpを示したが,もう1頭は前回と異なり,その母娘と共に正常なCpが検出された.このことから,低Cp個体には遺伝的な影響があるとしても,特定の環境や季節的要因の影響が少なからず関与しているものと推定される.
社団法人日本畜産学会の論文