能力検定および後代検定による2段階選抜の遺伝的改良量に及ぼす影響
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概要
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能力検定および後代検定の2段階にわたる選抜が各段階の対象形質(形質1;形質2)の遺伝的改良量に及ぼす影響をシミュレーション法により検討した.集団の大きさは1,000(雌雄各500)とし,第1段階選抜は形質1による個体選抜(選抜率は雄10%,雌40%),第2段階は形質2の後代の平均による選抜(選抜率は雄に対してのみ50%)を10世代にわたり実施した.両形質は2遺伝子群上の2対立遺伝子を持つ14遺伝子座に支配され,基礎集団の遺伝子頻度はいずれも0.5とした.相加的遺伝様式を想定して遺伝子型価を決定し,表型価は遺伝子型価に環境偏差(NID(0,σe2))を加え算出した.初期遺伝率(h210;h220)は0.6, 0.4および0.2を組合わせ,初期遺伝相関(rgo)は多面作用による0.16, 0, -0.16を設定した.したがって計27通りの選抜実験を実施し,両形質の累積改良量(ΔCG1;ΔCG2)を算出した.結果は第1あるいは第2段階選抜のみを行なった場合の10世代時の累積改良量を対照として%表示した.ΔCG1は中期までは対照区と大差はないが,後期にはrgoが低く,h220が高いほど低下した.ΔCG2は2形質の遺伝率と遺伝相関の組合わせにより異なり,rgoが正でh220が0.6の場合,ΔCG2は対照区に比べ低かったが(10世代において対照区の60〜80%),h220が0.2では間接選抜反応が加わり大きなΔCG2(120〜140%)を示した.逆にrgoが負の場合,ΔCG2は著しく低下し,最も高い場合でも40%(h210=0.2,h220=0.6)にとどまった.この傾向はh210が高いほど顕著で,h210=0.6では負のΔCG2さえ示した.rgoが0の場合のΔCG2は,初期には対照区と大差はないが,後期には低下し,rgoが正の場合と負の場合との中間を推移した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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