馬赤血球の遊離アミノ酸型の遺伝様式

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ろ紙電気泳動像によって検出される塩基性アミノ酸のバンドの相対濃渡の変異により,遊離アミノ酸型を分類した828頭の軽種馬のうち,親子関係の明らかなThoroughbred種137組,316頭,およびAnglo-Arab種30組,69頭を用いて,遊離アミノ酸型の遺伝様式につき検討した.また,トカラ馬10頭の遊離アミノ酸型を分類し,次のことを認めた.1) 馬3品種は,いずれもBA+型とBA-型の両変異型に分類され,それらにおけるBA+型の出現頻度は,それぞれThoroughbred種:40.2%,Anglo-Arab種:43.5%およびトカラ馬:50.0%であった.2) BA+型とBA-型との交配から得られた子孫における両型の出現状況を分析した結果,その表現型は常染色体性の1対の対立遺伝子BALおよびBAlにより支配されており,BA+型はBA-型に対して劣性であり,3A+型の遺伝子型はBAl/BAl,またBA-型のそれはBAL/BAL及びBAL/BAlであると推定された.したがって,この遊離アミノ酸型をBAシステムと命名した.3) 各交配型ごとの交配組数の観察数と遺伝子頻度より算出したその理論数との間の差についてx2検定を行なったところ,Anglo-Arab種の交配組数の観察数には遊離アミノ酸型による片寄りは認められなかった(0.30<P)が,Thoroughbred種ではBA-型の種雄馬はBA+型のそれに比して交配に用いられる機会が相対的に多かった(P<0.05).
社団法人日本畜産学会の論文

馬赤血球の遊離アミノ酸型の遺伝様式

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