めん羊赤血球の遊離アミノ酸型とアミノ基転移酵素活性値ならびにグルタチオン濃度との関係
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概要
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めん羊赤血球はその中に含まれる遊離アミノ酸をろ紙電気泳動法により分析すると,その泳動パターン並びに濃度によりLys+型とLys-型に分類される.また,このアミノ酸型はその血球のカリウム型とも密接な関係を有していることが明らかにされている3).そこで,今回はめん羊赤血球のLys+型とLys-型間における3つのアミノ基転移酵素,すなわち,GOT, GPTおよび芳香族アミノ基転移酵素の電気泳動像およびGOTとGPTの活性値ならびにグルタチオン(GSH)濃度につき比較,検討し,次の各事項を認めた.1). GOT, GPTおよび芳香族アミノ基転移酵素をでん粉ゲル電気泳動法により分析したところ,GOTおよび芳香族アミノ基転移酵素はそれぞれ陽極側に1本の活性帯として,またGPTは陽極側に2本の活性帯として検出されたが,個体変異は認められなかった.2). めん羊赤血球中のアミノ基転移酵素の活性値を測定し,Lys+型とLys-型との間で比較した結果,GOT活性値ではFinnish Landrace種におけるLys+型では40.6±0.46(R.F.単位),Lys-型では177.82±16.11(R.F.単位)であり,Lys+型のGOT活性はLys-型の約1/4.4であった.また,Lys-型における品種差は認められなかった.GPT活性値ではFinnish Landrace種におけるLys+型では19.55±1.38(R.F.単位),Lys-型では149.98±10.81(R.F.単位)であり,Lys+型のGPT活性はLys-型の約1/7.7であった.また,Lys-型における品種差は認められなかった.3). Lys+型及びLys-型赤血球に含まれるグルタチオン(GSH)濃度を比較したところ,Lys+型赤血球中のGSH濃度はLys-型の約1/5〜1/7であった.すなわち,Finnish Landrace種におけるLys+型のGSH濃度は10.23±0.18(mg/100ml),Lys-型では54.12±3.47(mg/100ml)であり,Suffolk種におけるLys-型では72.29±2.15(mg/100ml)であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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