家畜分泌液中の血液型物質に関する研究 : II. 牛の唾液,乳汁および腟液中の人血液型物質について

概要

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著者らは,ホルスタイン種乳牛の唾液,乳汁および腟液中における人血液型物質について検索した結果,次の成績を得た.1) 唾液,乳汁および腟液は,人のA,B,O型質の含有の有無により,それぞれ分泌型(A+,B+,O+)と非分泌型(A-,B-,O-)とに分類される.2) 唾液40例における各型の出現頻度は,A+型90.0%(36例),A-型10,0%(4例),B+型65.0(26例),B-型35.0%(14例),またO+型65.0%(26例),O-型35.0%(14例)であつた.乳汁95例におけるそれは,A+型62.1%(59例),A-型37.9%(36例),B+型49.5%(47例),B-型50.5%(48例),またO+型24.2%(23例),O-型78.5%(72例)であつた.腟液74例におけるそれは,A+型94.6%(70例),A-型5,4%(4例),B+型91.9%(68例),B-型8.1%(6例),またO+型82,4%(61例)O-型17.6%(13例)であつた.3) 各型質の型の組合せの出現頻度は,唾液ではA+B+O+が37.5%(15例),乳汁ではA+B-O-が24.2%(23例),また腟液ではA+B+O+が73.0%(54例)で,それぞれ最高値を示した.4) 腟液において分泌される各型質の量的関係は,唾液および乳汁におけるそれよりも大であるように考えられる.5) 同一個体内における唾液,乳汁および腟液の分泌状況の相互関係は存在しない.
社団法人日本畜産学会の論文