野鶏に関する血清生物学的研究 : I. 血清学的および電気泳動的にみた野鶏と家鶏との関係

概要

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鶏とその原種である赤色野鶏との血縁関係を明らかにするために,野鶏および地鶏を正逆交配してF1を作り出し,野鶏,地鶏およびそのF1の血清について,血清学的ならびに〓紙電気泳動的に実験を行ない,次の事項を確認した.1. 血清学的実験においては,野鶏,地鶏およびそのF1の血清をもつて家兎を免疫し,作成された抗鶏血清免疫家兎血清の吸收試験を行なつた結果,これら3種の鶏血清中には共通性抗原が存在し,野鶏および地鶏血清特有の種属特異性抗原の存在は認められなかつた.また,F1血清中にも野鶏および地鶏血清中には存在しないF1血清特有の新しい抗原の存在を認めることができなかつた.2. 〓紙電氣泳動的な実験においては,barbitone.緩衝液(pH 8.6)および20%のmethanolを含むbarbitone緩衝液(pH 9.0)をもつて,野鶏,地鶏およびそのF1の血清を泳動せしめた.その結果,蛋白分屑の易動度においては,各血清の間に大差を認めなかつたが,各分屑の相対比において,野鶏血清のalbumin,α1-,α2-およびβ-globulinは,地鶏血清のそれらに比して大であり,γ-globulinは小であつた.また,蛋白各分屑の相対比については,F1血清は野鶏および地鶏血清の中間に位していた.