馬における血清トランスフェリン蛋白量の年齢的変動
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概要
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単円免疫拡散法により測定した血清トランスフェリン(Tf)蛋白量の差異から,silent geneをもつTf型と通常のTf型を識別できることが明らかにされたが,この方法により両者の型を判定する場合,何らかの別の原因によりTf蛋白量が変動すると誤判定をする恐れがある.そこで,この手法を血液型検査へ導入するに当り,まず問題となり得る各種の要因の1つとして,Tf蛋白量と年齢との関係について調査した.その成績は次のごとくである.1, 通常のTf個体の生後30日齢のTf蛋白量は平均544.03±6.45mg/dlで最高値を示したが,その後,漸次減少し4歳以降は平均350mg/dl前後となりほぼ一定した.2, silent geneをもつTf型個体も生後30日齢で最高のTf蛋白量となり,平均値は326.40±40.82mg/dlであった.その後,やはり減少し明ケ2歳以降は約200mg/dl前後となり大きな変動は認められず,各年齢時において通常のTf型個体の約40〜60%の割合しかなく,量的にはほぼ1/2量であった.このことから,Tf蛋白量を同年齢間で比較することにより,silent geneをもつTf型は正常なものから容易に識別できることが明らかとなった.3, 4歳め以降の馬で,621例の通常のTf型個体のTf蛋白量分布の3標準偏差(M±3σ)以内の220〜486mg/dlの間に,silent geneをもつ4例のTf型個体は含まれなかった.4, 分娩後2日目における初乳中のTf蛋白量は,10mg/dl以下の痕跡程度であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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三浦 信義
競走馬理化学研究所分子遺伝
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桑島 正夫
競走馬理化学研究所
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横浜 道成
競走馬理化学研究所
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茂木 一重
競走馬理化学研究所
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細田 達雄
競走馬理化学研究所
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井上 正春
競走馬理化学研究所
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三浦 信義
競走馬理化学研究所
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