馬の血清transferrin蛋白量と血清鉄値との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
馬の血清transferrin (Tf)蛋白量の生理学的役割について考察するため,品種,Tf型および年齢の各要因から見たTf蛋白量と血清鉄値との関連性について調べた.1. 15種類のTf型のうち,易動度の早いD,FおよびHバンドから成るDF型,DH型,FF型およびFH型の血清鉄値は81〜86μg/dlの間にあり,また,主に易動度の遅いRパンドを合むDR型,FR型,OR型およびRR型並びにDO型の血清鉄値は57〜69μg/dlの間にあり,この両群間には有意の差が認められた(P<0.001).2. Silent geneをもつTf型の個体の平均血清鉄値(57μg/dl)は通常のTf型の個体の平均値(75μg/dl)よりも明らかに低い値であったが,その変動幅は通常のTf型の個体の変動幅の範囲内であった,3. Tf蛋白量を6段階に分けて(図1),その血清鉄値の差を分散分析した結果,有意な差が認められた(P<0.001).また,Tf蛋白量の高い個体は血清鉄値も高い値を示した.しかし,Tf蛋白量が少ない個体はTfに対する血清鉄の比率が高くなる傾向を示した.4. 血清鉄値の年齢的変動はTf蛋白量の変動推移と平行しており,また,各年齢において,silent geneをもつTf型は通常のTf型に比べ血清鉄値が14〜35μg/dl少なく,明白な差が認められた,以上の如く,Tf蛋白量が高い個体は血清鉄値も高い傾向を認めたが,これの鉄代謝にもつ意義は不明である.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- 日本在来馬種のHemoglobin型について
- 馬赤血球の遊離アミノ酸型の遺伝様式
- 馬赤血球中の遊離アミノ酸濃度の変異について
- 二次元電気泳動法による馬乳蛋白質の同定分布図および泌乳期間における経時的変化
- 馬赤血球のARGase型および遊離アミノ酸型のBAシステムとアルギニンおよびオルニチンの濃度との関係
- 馬赤血球のアルギナーゼ活性値の変異
- 二次元電気泳動法によるサラブレッド種の血漿蛋白質の同定マップについて
- 等電点電気泳動法により検出された新しい馬Tf型
- 等電点電気泳動法による馬hemoglobinの多型
- 御崎馬における子馬のハーレム群からの独立
- 御崎馬の馬群内の種雄馬と子馬の父子関係
- 日本•韓国在来馬の免疫学的特性に関する研究
- Silent gene検出による馬transferrin systemの親子判定における有効性について
- 馬の血清transferrin蛋白量と血清鉄値との関係
- 軽種馬におけるトランスフェリン量の加齢変動 : 鉄代謝および免疫グロブリン量との関連性について
- 二次元電気泳動法による軽種馬のα1-Protease inhibitor (Pi) 型の分類について
- 等電点電気泳動法による軽種馬のPi system
- 馬のtransferrin型およびesterase型の分類
- 馬赤血球の凍結保存に関する研究:凍害防止剤の検索並びに長期凍結保存
- 馬血清トランスフェワン蛋白量の変動 : 季節的,個体内,トランスフェリン型間および品種における変動について
- 馬における血清トランスフェリン蛋白量の年齢的変動
- 馬のTf蛋白量の一般集団における正常値の分布並びにTfのホモ型とsilent geneの関与するヘテロ型の蛋白量の差異について
- 馬のtransferrin systemにおけるsilent geneの存在について
- 馬トランスフェリン蛋白の分離精製および抗トランスフェリン抗体の作製
- 馬血液型のPf6およびU6因子の遺伝様式とそのシステムの推定
- 馬の個体識別および親子判定における血液型の有効性