ハイブリッド豚,ハイポー,の肉質について (その1)-化学的性質について
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概要
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最近,輸入されているハイブリッド豚の1つに,オランダのユリブリッド社で開発された四元交配種豚ハイポーがある,本研究は,ハイポーと日本で従来からよく生産されている三元交配種豚[(ランドレース×ラージホワイト)×ハンプシャー](以後LWHと略す)の肉質を比較するため,それらの肉の各種成分の組成を調べたものである.ハイポーの去勢雄(HC)と雌(HG)およびLHWのそれぞれ(CC,CG)各4頭ずつの計16頭を屠殺後,それらのロースとバラを取り出し,それぞれ5日および6日間,4°Cで貯蔵した.貯蔵後,水分,粗脂肪および粗蛋白質の含量を調べた結果,いずれについても,ハイポーとLWH間に有意差のないことが明らかとなった.全脂質におけるパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸の相対含量は,ハイポーのロースではそれぞれ21.9,11.7,53.6,10.1,1.4%(合計98.7%)であり,ハイポーのバラではそれぞれ22.1,10.9,54.5,9.7,1.4%(合計98.6%)であった.このうち,リノール酸の相対含量は,ロース,バラ共に,またリノレン酸の相対含量はバラにおいて,ハイポーがLWHより少ないことが有意差をもって認められた.ロースの各遊離アミノ酸の含量は,Tau,Thr+GlnおよびPro以外のいずれのものでもハイポー区とLWH区間で有意差は認められなかった.Tau,Thr+GlnおよびPro含量はいずれもハイポーの方が多かった.バラの各遊離アミノ酸の含量はいずれのものもハイポーとLWH間で有意差は認められなかった.特に多いアミノ酸はハイポーとLWHの両部位共にAla,Tau,Gly,Glnであった.主要なATP代謝物質の1つであったIMP量はロース,バラ共にハイポーとLWH間に有意差は認められなかった.Na,K,Mg,Ca,Fe,Zn,Pの無機成分含量は,ロース,バラ共にメスの方がオスよりも多い傾向が認められた.またいずれのものも,ハイポーとLWH間には有意差は認められなかった.
著者
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沖谷 明紘
日本獣医畜産大学食品科学科
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西村 敏英
東京大学農学部
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沖谷 明紘
日獣大食工
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沖谷 明紘
日本獣医畜産大学
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沖谷 明紘
日本獣医畜産大
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金子 成延
東京大学農学部
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千々岩 壬
協同飼料株式会社中央研究所
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加藤 博通
東京大学農学部
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沖谷 明紘
日本獣医畜産大学畜産食品工学科
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