果汁製品の褐変機構に関する研究(第3報) : クエン酸-蔗糖系における褐変機構
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概要
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(1) 濃厚ジュースの5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の定量法として,強酸性で2-チオバルビツール酸と38°で呈色せしめる簡便な比色法を適用した. (2) 3-デオキシグルコソン(3-D-G)の定量法として,試料中の全カルボニルを2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとし,これを酸性アルミナ(4)のカラムで吸着クロマトグラフィーを行って分離し, 3-D-Gの2, 4-ジニトロフェニルオサゾンの区分を比色定量する方法を開発した. (3) 市販濃厚レモンジュースの基本モデル系として,クエン酸2%,蔗糖56%を含む水溶液(pH 1.8)を用いて試験した結果,蔗糖の転化により生じたブドウ糖はほとんど全く褐変しないが,一方,果糖が褐変の原因となり,果糖は分解して3-D-GとHMFを生ずることを明らかにした.この場合HMFは3-D-Gを経由して生成すると考えられる.この3-D-GとHMFはともにアミノ酸と反応して褐変すると考えられる. (4) 濃厚レモンジュースは保存中にクエン酸量が減少するが,この現象は褐変反応とは無関係であることを明らかにした.これは高濃度に共存する糖とクエン酸との間のエステル化反応によるものと考えられる. (5) 天然レモン果汁の遊離アミノ酸を検索した結果,グルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,バリン,セリン, γ-アミノ酪酸,プロリン,アルギニンを検出した. 上記基本モデル系を用い各種アミノ酸の褐変への影響を試験したところ, pH4〜7における通常のアミノーカルボニル反応の場合と相違した結果が得られた. (6) 上記基本モデル系に各種金属イオンを添加して保存試験を行った結果,錫鉄,アルミニウムの各イオンがかなりの褐変促進作用を示し,これらについで銅イオンが褐変を促進した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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