大豆製品の褐変機構に関する研究(第2報) : 火入醤油の着色濃化現象における3-デオキシオソン類,ヘキソース及びペントースの役割
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概要
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(1) 火入醤油における3-デオキシペントソン(3-D-P)の存在について検討した結果,前報(1)で確認した3-デオキシグルコソン(3-D-G)に比して遙かに少量ではあるが,その存在を確認し得た. (2) 火入醤油にキシロースを添加(5%)して37°に保存すると,急速に3-D-Pが生成してくることを確認した. (3) 醤油のヘキソース並びにペントースを測定する簡便な方法として,オルシン-硫酸反応とBial反応とを用いた同時定量法を適用した. (4) 火入醤油を40°に保存または80°に加熱すると,着色度増加(470mμ)に伴ってヘキソースとペントースは減少するが, 3-D-Gは次第に増加して最高点に達した後ヘキソースの減少に平行して減少する.またキシロースを添加した火入醤油(5%)を40°に保存すると,同様に着色濃化に伴ってヘキソースとペントースは減少するが, 3-D-Gと3-D-Pは共に次第に増加して最高点に達した後それぞれヘキソース及びペントースの減少に平行して減少する,以上の事実から火入醤油の着色濃化現象において“アルドース→3-デオキシオソン類→着色物質”なる反応機構が存在することを推定した. (5) 火入醤油にグルコース及びキシロースを添加して空気と接触しない条件下で40°に保存すると,糖添加区はいずれも無添加区よりも着色度増加量が大きい.その際の糖減少量と着色増加量との関係から,少くともこの条件下では着色増加量の大部分は糖の消費によるものであること,また糖の単位減少量当りの着色増加への寄与はペントースの方がヘキソースよりもかなり大きいことを示した. (6) 火入醤油の着色濃化現象に対して空気(酸素)は促進作用を有し,空気との接触面積並びに接触時間が大きい程著しい.しかしながら空気と接触しないでも着色濃化は進行し,特にキシロースを添加(5%)した場合は非酸化的褐変反応が急速に進行する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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