卵白とその蛋白質成分のアルカリによるゲル化について
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概要
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卵白のアルカリによるゲル化について,卵白とその蛋白質成分のアルカリによる粘度変化を調べた結果,粘度増加またはゲル化の起こるのは卵白のほか,オボアルブミンとコンアルブミンであった.粘度の増加またはゲル化はpH,蛋白質濃度または温度が高くなるにつれ著しくなり,とくにそれらが一定の値を過ぎると粘度の増加が急激に起こる.また,pH,蛋白質濃度,温度が同じ場合は,卵白はオボアルブミンより粘度が高くまたはゲル化しやすいことが認められた.卵白の蛋白質成分間の相互作用を調べるために,オボアルブミン,コンアルブミン,オボムコイド,リゾチーム,オボムチンなどを卵白中に存在する割合に準じて混合し,一定pHおよび温度で粘度を測定した結果,オボアルブミンとその他の蛋白質成分の混合により粘度が著しく増加した.しかし,コンアルブミンとオボムコイド,リゾチームまたはオボムチンの混合,あるいはオボムコイド,リゾチーム,オボムチンの相互混合では粘度の増加は認められなかった.アルカリによりオボアルブミンよりも卵白がゲル化しやすいのは,卵白ではオボアルブミンを中心とする各成分の相互作用が存在し,単独ではゲル化しないオボムコイド,リゾチーム,オボムチンなどがゲル生成に関与しているためと思われる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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