アルカリによる卵白のゲル化について
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概要
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皮蛋はアルカリ性において卵成分がゲル化する性質を利用して製造される.この際の卵白蛋白質の変化を調べる目的で,本実験では卵白のゲル化に及ぼす温度(0〜45°C),蛋白質濃度などの影響を調べ,また,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAE)とゲル〓過により,アルカリによる卵白の蛋白質成分の変化を検討した.卵白にアルカリを添加(4.5N NaOH4ml/100ml卵白)するとゲル化するが,温度が高い方がゲル化は早く起こり,また,ゲルも硬くなる.卵白を希釈するとゲル化は起こりにくく,2倍希釈卵白ではゲルは軟らかく,室温に一夜放置すると再溶解した.尿素やラウリル硫酸ナトリウムの添加はゲル化を促進し,硬いゲルが生成する.pH 12.5に調整した卵白を30分放置すると,PAE図ではコンアルブミンのバンドが消失する.pH 13.0にするとオボァルブミンのバンドも消失した.また,結晶オボァルブミン溶液をpH 13.2で処理しても,そのPAE図に変化はないが,コンァルブミンではバンドが消失した.これらの結果は,アルカリ処理により卵白の蛋白質成分間に相互作用が起こること,およびコンアルブミンがアルカリの影響を比較的受けやれいことを示すものである.Sephadex G-200によるゲル〓過では,未処理卵白は1つのピークになるが,アルカリ処理卵白では早く溶出する成分が現われ,処理pHが高くなるほど早い成分の比率が大きくなうた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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