虚弱高齢入院患者と特別養護老人ホーム入所者における主観的食事満足度の比較検討
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概要
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目的:本研究の目的は、要介護かつ要看護状態にある長期入院中の虚弱高齢者の食事に関する満足度の推定と満足度を規定する要因について知ることであった。そのために患者自身が自己評価する主観的満足感について調査するとともに、それとケア担当職員が見積もる担当患者の主観的満足感の間における相違の程度についても調査した。さらに虚弱高齢者の食事に関する満足感の特徴を明らかにするために、特別養護老人ホーム入所者における調査結果と比較検討を行った。対象と方法:札幌市内の中規模病院(235床)における虚弱高齢入院患者52名を対象とした。食事満足度は、吉田らによって確立された特別養護老人ホーム入所者とその介護職員を対象とした食事満足度調査票を用いた。虚弱高齢者の食事満足度の特徴を明らかにするために、吉田と山田による特別養護老人ホーム入所者の調査結果と比較検討した。結果:虚弱高齢入院患者と特別養護老人ホーム入所者の間における食事満足度指標-11の平均スコアには有意差はなかった。食事満足度を規定する主な主観的食事要因のなかで、両者に共通するのは、「食べ慣れた味つけや料理の頻度」であった。患者自身が自己評価する主観的満足感とケア担当職員が評価する担当患者の主観的満足感の比較では、「職員から大切にされていると感じますか」と「この病院に入院して、満足していますか」の質問項目において患者は担当職員よりも有意に高い評価を示した。同様の結果は、特別養護老人ホーム入所者と担当職員の間においても認められた。結論:虚弱高齢入院患者の食事満足度を規定する主要因は、食べ慣れた味つけの頻度、生きる喜びのための食事、いつもの食事の雰囲気であった。虚弱高齢入院患者と特別養護老人ホーム入所者の間には、主観的食事満足度を評価する食事満足度指標-11のスコアに有意差が認められなかったことから、両者は同じ虚弱高齢者として食事に関する共通の主観的満足感を有していることが示唆された。虚弱高齢者は、当該施設のケア担当職員が見積もっている以上に大切にされていると感じており、病院や施設での生活に満足していた。本件研究は、安全に食べられた食事摂取量だけを重視してしまいがちな管理栄養士やケアを提供する職員の姿勢に反省を促すものであり、心の栄養を重視する虚弱高齢者の気持ちを尊重した看護・介護の必要性を示唆する。
著者
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吉田 真弓
天使大学看護栄養学部栄養学科
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藤井 義博
藤女子大学人間生活学部食物栄養学科
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吉田 真弓
藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻・大学院生
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藤井 義博
藤女子大学 人間生活学部 臨床栄養学研究室
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山田 美智子
慈啓会養護老人ホーム
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角張 敬子
慈啓会病院
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