616 積層型ピエゾアクチュエータによる鉄道実車両の弾性振動低減に関する研究

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近年の鉄道車両は,高速化,ランニングコストの低減等への期待から積極的に軽量化が行われている.一方で車体の軽量化は,車体剛性を低下させ車体の上下弾性振動の増加を招くという問題がある.この上下弾性振動の1次の固有振動数は人が不快と感じる周波数帯域に近いため,乗り心地の観点から新幹線だけでなく在来線車両でも問題とされており,軽量化車両に対する弾性振動の制御手法の提案・検討が必要となっている.また,近年スマート構造という考え方が注目され,宇宙構造物の分野等で研究がなされている.このスマート構造とは,構造部材に小型アクチュエータやセンサを組み込み人間における筋肉や神経の機能を持たせたものであり,制御装置の小型化,軽量化につながるといった利点がある.本研究では,軽量ステンレス製の試験用車両に積層型ピエゾアクチュエータを用いたスマート構造技術を適用し,人の乗り心地に最も影響する車体の弾性1次振動を低減させることを目的とする.制御器の設計にはH_∞制御理論を用い,車体の曲げモーメントをアクティブに制御することで車体の弾性振動の低減を図った.実験で使用した車両を図A1に示す.この実験車両は鉄道総研が保有する軽量ステンレス製の試験用車両である.主な諸元は長さ19.5[m],幅2.95[m],高さ2.60[m],質量10,600[kg]となっており,最近の通勤形車両と同様の車体構造を持っている.この試験車両の左右側梁に,冶具を介して12ケ所に計24個のヒ.エゾアクチュエータを取り付けた。H_∞制御理論を用いて設計した制御器の制振性能を確認するため,制振試験を行った.外乱としての入力波を動電型加振器より入力し,その時の車体中央部加速度を測定する.これをフィードバック信号として用い,制御器からピエゾアクチュエータへ制御電圧が出力され制御が行われる仕組みとなっている.制振試験における車体中央部の加速度のボード線図を図A2に示す.ここで外乱入力には0.1〜20Hzのスイープ波を用いた.この図の固有振動数のピークを比較すると33%振動を低減出来ている事がわかり,これより積層型ピエゾアクチュエータを用いて車体の弾性1次振動が低減可能であることを確認した.
2006-08-06

616 積層型ピエゾアクチュエータによる鉄道実車両の弾性振動低減に関する研究

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