ニホンウズラ(Coturnix coturnix japonica)の血液細胞の微細構造について : I.好異球と好酸球について

概要

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ニホソウズラ(Coturnix conturnix japonica)は近年,実験動物として賞用されているが,血液細胞の微細構造に関する報告にはいまだ接することができない。そこで著者らはウズラ血液細胞の微細構造を明らかにするために本研究を企てた。第I報として,その染色性から光顕的に類似している好異球と好酸球について報告する。材料は9羽の臨床的に健康と思われる雄の成熟ウズラを用い,後頭部切断によって得た血液1.5mlに対して0.5mlの血液凝固防止剤(1.5%EDTA-2K水溶液と1.5% EDTA-3K水溶液の等量混合液)を混和し,2段階遠沈によりbuffy coatを作り,1% OsO_4の単固定,2.5% glutaraldehydeと1% OsO_4の混合固定または2.5% glutaraldehydeと1% OsO_4の二重固定を行ない,次のごとき成績を得た。1)好異球は直径約6〜7μで,類円形を呈し,細胞表面には少数で,小さな偽足様突起を有し,まれに葉足をも有していた。2)好酸球は直径約6μの類円形の細胞で,偽足様突起はごく少数認められた。3)好異球の特殊顆粒は2型に大別された。すなわち,電子密度の高い顆粒(I型)と,電子密度の低い顆粒(II型)であった。I型顆粒はその多くのものが紡錘形として認められた類円形のものも認められたが,それらは紡錘形のものの断面と考えられた。これらの顆粒は,ほぼ0.6〜3.3μ×0.4〜0.7μの大きさを示した。II型顆粒はその多くが円形または類円形であったが,しばしば,短桿状のものも認められた。これらの大きさは直径約0.3〜1.2μであった。4)好酸球の特殊顆粒もまた2型に大別された。すなわち,I型顆粒は電子密度が非常に高く,直径約0.8〜1.5μのほぼ円形であった。II型顆粒は中等度の電子密度で,大多数のものが類円形を示し,直径約0.6〜0.9μであった。5)前述の特殊顆粒のほかに芯(core)を持つ小顆粒が好異球,好酸球ともにGolgi装置の周囲および細胞質の辺縁近くに散在性に認められたが,好異球においてより高頻度であった。6)好異球と好酸球において,細胞小器官の発達程度には明らかな差異は認め得なかった。以上のことより,好異球と好酸球はそれらの特殊顆粒の形状およびそれらの電子密度より容易に区別することができた。
帯広畜産大学の論文
1973-01-18

ニホンウズラ(Coturnix coturnix japonica)の血液細胞の微細構造について : I.好異球と好酸球について

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