ミンク(Mustela vison)-とくにいわゆるホモの不妊に関する形態学的研究 : II.雌の尿生殖器の肉眼的所見

概要

論文の詳細を見る
いわゆるホモの不妊の原因を形態学的に明らかにする目的で,東北海道の3ミンク飼育場で蒐集したホモの雌3種類の合計43個体および対照としての雌7品種の合計55個体の尿生殖器についてまず肉眼的観察を行ない,次のような成績をえた。1)ホモで一側の泌尿器に異常が認められた個体に,同時に同一側の生殖器にも異常が認められるものがNAMRのHomo CCPastel15例中2例(13.3%)に,またTAMRのHomo Sapphire19例中5例(26.3%)に発見された。2)対照の7品種55例および品種不詳の300剥皮屍体には尿生殖器の異常なものは1例も発見できなかった。3)尿生殖器に異常を呈したホモ7例中6例は一側の腎臓欠損とこれに伴う腎脈管,尿管の欠如,さらに泌尿器異常側の卵管と子宮角を完全に欠損するものであった。他の1例は左側の腎臓,腎脈管,尿管,卵管および子宮角を欠損するほかに,右側の子宮角後端の部分的欠如および尿道の開口異常を併発していた。4)ホモにおける一側腎臓欠損例の他側残存腎は一様な形態を示さなかったが,形態のいかんにかかわらず残存腎は正常腎のほぼ1.5〜2倍の重量増加を示していた。5)ミンクの卵巣は採皮期においておおむね小豆形を呈するが,分葉する傾向が強く,不規則な形態を示すものが多かった。繁殖期における卵巣は大型卵胞(直径1.0mm)の卵巣表面よりの突出により,さらに一層不規則な形態をとる。6)繁殖期に蒐集した他品種の卵巣は必ずしも正常な発育,機能を示したものとは考えられず,それらの重量平均値はENDERSのそれに比べ極めて小さな値であった。7)ホモの卵巣は採皮期において同時期の他品種の卵巣に比べ,発育が劣っているとは考えられないが,繁殖期においてはホモの卵巣は他品種の卵巣に比べ極めて発育が悪く,前者は後者の約1/2〜1/3の重量を示すにすぎなかった。
帯広畜産大学の論文
1965-03-25

ミンク(Mustela vison)-とくにいわゆるホモの不妊に関する形態学的研究 : II.雌の尿生殖器の肉眼的所見

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク