豚卵巣の解剖学的研究 : I.肉眼的所見
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概要
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豚卵巣の解剖学的研究の第一段階として肉眼的観察を行ない,次のような成績を得た。1)豚の卵巣表面に現われる諸構造について卵胞,黄体のほかに,"混濁胞","黄色斑","白色斑",を識別した。2)卵胞の色調,血管の発達程度から正常卵胞の成熟段階を定めた。3)卵胞は2〜3mmまでは週期的変動はなく,平均した一定の発育をするが,3〜5mmのものは発情週期により影響をうけ,5mm以上のものは発育の程度に高度の週期的緩急があるもののようである。これはCORNERの所見とほぼ一致する成績である。4)卵胞に混濁部の認められるものを,その混濁部の色調によって白色混濁胞,黒赤色混濁胞の2種に区別した。5)白色混濁胞は閉鎖卵胞の,また黒赤色混濁胞は出血を伴なう閉鎖卵胞の発現初期像と考えられる。6)混濁胞の出現が3〜5mmの卵胞に特に多い事は,発情週期的影響によるものであると考えられる。7)豚の発情性黄体は濃赤,黒赤,淡赤,黄赤色黄体の順に発達し,赤色調の減退に反し黄色調を増し,ついで淡黄,濃黄色黄体の順に退縮し,大きさの減小と共に黄色調が顕著となるようである。8)黄体の大きさからその週期的消長を認め,過去における連続2回の排卵に相当する黄体群を肉眼的に識別し得た。9)黄色斑はその大部分が黄体に由来したものと考えられるが,混濁胞(閉鎖卵胞)に由来したものも混じうると考えられる。10)濃赤黄色,淡赤黄色の赤色調を帯びる黄色斑は妊娠性黄体起原のものと考えられる。11)白色斑はおおむね小型で,その大多数は閉鎖卵胞に,一部は黄体に由来したものと考えられる。
- 帯広畜産大学の論文
- 1960-12-25
著者
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