Simulium metallicum と S. ochraceum の Onchocerca volvulus に対する親和性の比較
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概要
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Onchocerca volvulusミクロフィラリア陽性者を吸血した野外採集成虫を25℃恒温下で飼育し, Simulium metallicumのO. v.幼虫に対する親和性を, 好適中間宿主S. ochraceumと比較しながら調べた。その結果, ブユ体内でのO. v.幼虫の発育日数は, ミクロフィラリア摂取7日後に感染幼虫に達し, 8日後にそれがブユの頭部へ現れはじめ, 両種の間で差がなかった。しかし, S. o.はミクロフィラリアとりこみ数に関係なく高い生存率を示し, その体内でO. v.幼虫がそろって感染幼虫に発育し, 能率的にブユ頭部へ移行した。これに対してS. m.はミクロフィラリアのとりこみ数が増加するにつれて早期死亡個体が増加し, 平均26匹以上の摂取群で高い死亡率を示した。また, O. v.幼虫の発育が不ぞろいで, 発育遅延, 奇形や死亡虫が頻出し, S. m.はこの寄生虫に対してある程度生理的に不適合性をもつことが推察された。ミクロフィラリア陽性者を吸血し, 8日以上生存して感染可能となる雌の割合は, S. o.では30-43%であったが, S. m.ではその1/3.5-1/5程度であろうと推測された。S. m.に酷似するS. horacioiは, 暫定的にS. m.と同定した実験材料の中に約15%混在することが確認され, S. m.より低くはあるがO. v.に対して親和性をもつものと思われた。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1980-12-15
著者
-
田中 生男
日本環境衛生センター環境生物部
-
田中 生男
日本環境衛生センター 環境生物部
-
Ochoa A.
Laboratorio De Investigacion Cientifica Para Control De La Oncocercosis
-
伊藤 寿美代
大阪府立公衆衛生研究所:(現)京都府立医科大学医動物学教室
-
田中 生男
日本環境衛セ
-
田中 生男
日本環境衛生センター
-
伊藤 寿美代
京府医大・医動
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