豚の体表への ronnel 散布によるコガタアカイエカ駆除実験
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概要
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1) 豚の体表へronnelの乳剤稀釈液を散布することによつて, コガタアカイエカCulex tritaeniorhynchus summorosus成虫を駆除しようという目的で, 室内および野外で, 3〜4の実験を行なつた.2) コガタアカイエカ成虫に対する継続接触試験では, ronnel乳剤の1%稀釈液のKT-50値は, 120分, KT-90値が180分であつた.fenitrothion乳剤の0.5%稀釈液のKT-50値は, 120分, KT-90値は170分であつた.3) 同じく短時間接触試験の結果は, ronnel 1%では, KT-50値が2.75分, KT-90値が5.4分, またfenitrothion 0.5%では, それぞれ9分および22分であつた.4) コガタアカイエカの吸血宿主上の係留時間は, 人の腕での観察では, 平均10分54秒, 豚体上では, 1例の観察であるが5分5秒であつた.5) 薬剤を体表に処理したマウスをコガタアカイエカ成虫に吸血せしめて, 24時間後に, その生死を観察した結果は, ronnelの場合, 吸血蚊では, 100%の死亡率が得られた.また未吸血蚊も98.3%の死亡率であつた.fenitrothionでは, 未吸血蚊の死亡率は100%であつた.6) 豚の体表へのronnel散布によるコガタアカイエカの死亡状況は, 4回の繰り返しの平均で, 吸血蚊では93.5%, 未吸血蚊では76.2%の死亡率が得られた.また薬剤処理3日後にも, 吸血蚊は, 93.5%という高い死亡率を示した.7) 豚体処理を含めて畜舎内にronnelを残留噴霧した場合の効果は, 吸血蚊の死亡率が94.8%, 未吸血蚊の死亡率が95.2%であつた.また薬剤処理7日後の観察でも高い死亡率が得られ, かなり長期の残効性が認められた.8) 以上の結果を総合すると, コガタアカイエカの成虫駆除のために, 豚の体表に殺虫剤を処理する方法は, 十分に有望なものと考えられる.
- 1968-03-31
著者
-
田中 生男
日本環境衛生センター環境生物部
-
水谷 澄
日本環境衛生センター
-
緒方 一喜
日本環境衛生センター
-
鈴木 猛
日本環境衛生センター第2事業部
-
田中 生男
日本環境衛セ
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緒方 一喜
日本環境衛生センター第2事業部
-
鈴木 猛
日本環境衛生センター第2事業部:東京大学医科学研究所寄生虫研究部
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田中 生男
日本環境衛生センター第2事業部:東京大学医科学研究所寄生虫研究部
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