TiO_2/フタロシアニン界面の光電変換特性とn型ポルフィリン層挿入効果(機能性有機薄膜,一般)

概要

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本研究ではn型半導体であるアナターゼ型TiO_2上に,有機色素でp型伝導性を示す銅フタロシアニン(CuPc)または亜鉛フタロシアニン(ZnPc)を真空蒸着した試料を作成し,光電変換特性を測定した.また,n型伝導性を示すテトラピリジルポルフィリン(H_2TPyP)またはその亜鉛錯体(ZnTPyP)をTiO_2とフタロシアニンの界面に挿入し,有機p-nヘテロ接合を形成することで特性の向上を試みた.さらに,ポルフィリンとフタロシアニンの接合界面にこれらの色素が混ざり合った共蒸着層を導入した試料も作成した.その結果,フタロシアニンのみの試料(ITO/TiO_2/Pc(50nm)/Au)に比べて,H_2TPyPを挿入した試料(ITO/TiO_2/H_2TPyP(xnm)/ZnPc(50nm)/Au)では,挿入膜厚xが増すにつれて開放端電圧V_<oc>の増加が確認され,x=6nmとごく僅かに挿入した試料においてはとりわけ短絡光電流J_<sc>の大幅な増加が確認された.また,x=3nmの同試料に共蒸着層を6nmほど導入することで,V_<oc>の値がx>40nmの試料と同程度まで増加した.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-11-12