腎細胞癌に対する経胸腹的根治的腎摘除術

概要

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1979年10月から1983年9月までの4年間に、腎細胞癌22例に経胸腹的腎摘除術を行ったので、その手術術式と成績について報告した。患者の体位は30°の半側臥位とし、第8または第9肋骨を切除して肋骨床切開で胸腔に入り、ついで横隔膜を切開して腹腔に達した。22例すべて、所属リンパ節郭清を含む根治的腎摘除術を施行した。22例の手術時間は平均4時間45分、出血量は平均983mlであったが、合併手術を行わず、術中合併症のみられなかった16例の手術時間は平均4時間14分、出血量は平均742mlであった。22例中、手術死は1例もなく、術中合併症は血管損傷が2例、9.1%にみられたのみであった。術後合併症も2例、9.1%と少なかったが、1例は術前よりみられた腎不全の増悪、1例は創の強い疼痛で、いずれも保存的治療により軽快している。なお胸腔内合併症はみられなかった。本術式はすべての腎細胞癌の根治的手術法として、最もすぐれているが、とくに大きな腫瘍、上極に発生した腫瘍、横隔膜下への病巣の進展がみられる例には、最も適している。
社団法人日本泌尿器科学会の論文