腎摘施行Stage 4B腎細胞癌の予後を左右する因子の解析

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治療開始時既に遠隔転移を有していた症例(stage 4B)中,腎摘施行例でかつ手術死や他病死を除く106例を対象に,予後に影響を及ぼす諸因子を解析した.その結果,1)原発巣の組織学的怒性度(grade):grade IIがgrade IIIまたはgrade IVに比較して,2)発見の契機:偶発癌が尿路症状または尿路外症状を呈した症例に比較して,3)血液生化学的異常:貧血,CRP,赤沈,α_2-globulin,IAPの5項目中,検査値正常例および2項目以下の異常値であった症例が,3項目以上の異常値であった例に比較して(IAPを除く4項目中では,1項目の異常値例および検査値正常例が,2項目以上の異常値であった例に比較して),4)リンパ節転移:リンパ節転移を認めなかった例が,リンパ節転移を認めた例に比較して,5)転移臓器数:一臓器転移例が,多臓器転移を認めた例に比較して,6)治療法:IFN療法またはIFN+化学療法を行った例が,化学療法単独療法を行った例に比較して,7)腎動脈塞栓:腎動脈塞栓施行例が,塞栓未施行例に比較して,8)転移巣の手術的切除:限られた症例であるが転移巣切除例が,切除を行わなかった例に比較して,それぞれ有意に生存率良好であった.従って,腎摘施行stage 4B症例においては,これら8項目の諸因子を考慮した治療を行うことにより,より有効な治療成績をあげることが可能であると同時に,より効果的な療法の確立が急務であることが明らかとなった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1994-11-20

腎摘施行Stage 4B腎細胞癌の予後を左右する因子の解析

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