前立腺癌の内分泌療法中に発生した非ウイルス性肝細胞癌の2例
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概要
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本邦での肝細胞癌は約95%が肝炎ウイルスの持続感染に起因したものであり, 非ウイルス性の肝細胞癌は稀である.今回我々は前立腺癌の内分泌療法との因果関係が疑われる肝炎ウイルス関連マーカー陰性肝細胞癌の2例を経験したので報告する.症例1 : 64歳男性.低分化前立腺癌stage D2(初診時PSA1,190ng/ml).骨転移症状を認めたためdiethylstilbestrol diphosphate(以下DES-DPと略す)内服を開始.約4年間のDES-DP内服後, PSA値が徐々に上昇してきた.PSA値が上昇を開始した1年後, 画像診断にて肝に腫瘤を認め転移と判断.Cisplatinおよびetoposideによる全身化学療法を施行するも治療開始約6年で癌死.剖検にて前立腺癌の広範な局所浸潤と骨転移を認めたが, 小児頭大の肝腫瘤のみは原発性肝細胞癌であった.症例2 : 74歳男性.中分化前立腺癌stage D2(初診時PSA 48ng/ml).LH-RH analogueおよびflutamideによるTABを施行.治療開始約1年後よりPSAの再上昇を認めた.flutamideからbicalutamideに変更し経過観察したが, やがてPSAはさらに上昇し骨転移および肝腫瘤は増悪した.肝生検を施行したところ病理結果は原発性肝細胞癌であった.これら2例はいずれも肝炎ウイルス感染の既往が証明されず, 進行した前立腺癌に対するホルモン療法の長い既往がある点で示唆に富むと考え報告した.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2005-05-20
著者
-
石川 智久
東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
小野寺 昭一
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
小野田 昭一
東京慈恵会医科大学感染制御部
-
小野寺 昭一
東京慈恵会医科大学
-
浅野 晃司
東京慈恵会医科大学 医学部 泌尿器科
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学 泌尿器科学講座
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学附属病院 医師人事委員会
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学 泌尿器科
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学 血液・腫瘍内科
-
大石 幸彦
東京慈恵会医科大学 放射線医
-
池本 庸
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
長谷川 雄一
東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
-
冨田 雅之
東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
-
長谷川 倫男
東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
-
池本 庸
東京慈恵会医科大学付属第三病院泌尿器科
-
池本 庸
東京慈恵会医科大学附属第三病院泌尿器科
-
長谷川 倫男
神奈川県汐見台病院 内科
-
長谷川 倫男
東京慈恵会医科大学 放射線医
-
長谷川 雄一
国立成育医療センター泌尿器科
-
浅野 晃司
東京慈恵会医科大学 泌尿器科
-
石川 智久
東京慈恵会医科大学 精神医学講座
-
冨田 雅之
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
冨田 雅之
町田市立町田市民病院
-
富田 雅之
東京慈恵会医科大学 泌尿器科
-
長谷川 雄一
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
大石 幸彦
富士市立富士中央病院
-
浅野 晃司
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
小野寺 昭
東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座
-
池本 庸
東京慈恵会医科大学付属第三病院
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