腎細胞癌の腫瘍径が有する臨床的意義に関する検討

概要

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過去32年間に慈恵医大泌尿器科及び関連病院で治療した腎細胞癌482症例の内, 腎摘除術が施行された431症例について, 腫瘍の長径から4群 (A群: 3.0cm以下; 22例, B群: 3.1∼5.9cm; 121例, C群16.0∼9.9cm; 209例, D群: 10cm以上; 79例) に分類し, 各群別に臨床的特徴や, 予後どの関連に関して比較検討した. 1) 罹, 患年齢, 性差, 患側は, 各群問に差は認められなかった. 2) 初発症状からみると, 腫瘍径の増大に伴って, 尿路症状の頻度が高くなり, 特に10cmを越える群で腫瘤を触知する傾向が強かった. また, 血尿の頻度及び, 尿路外症状の頻度は各群間に差はほとんど認められなかった. 3) 発熱, 体重減少, 貧血, 赤沈の亢進の頻度は, 腫瘍径が6.0cmを越える群がら多く認められる傾向にあった. 4) 腫瘍径の増大に伴ってstage及びgradeが高くなる傾向が認められた. 5) 各群別生存率を比較すると, A群とB群問の生存率に有意差はなく, C群とD群間の生存率も有意差が認められなかったが, その他の群間の生存率に有意差が認められた. 6) 各群別に, stage及びgrade別生存率を分析した結果, 特に腫瘍径の小さいA群に関してはstageよりgradeが予後を左右する因子と考えられた.
1990-04-20